2006.08.23 Mac Pro その1

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というわけで、Mac Proのことですが。

仕様的には予想通りといえますね。5インチベイが2基、SATA HDD4台内蔵可、というのは予想外でうれしいところです。だって、このMac Proを購入しても来年当たりにはどのみちBlu-ray DiscドライブかHD DVDドライブを購入することになるんだし。また、G5 Jamといった、内蔵HDD増設用キットを利用しなくてもいい。

PowerMac G5とおなじ筐体サイズに詰め込むことができたってのは、熱設計に余裕が出来たから、すなわち、PowerMac G5 Quad 2.5GHzに搭載されているPowerPC 970MPに比べて、Xeon 5100シリーズの廃熱が少ないってことなんでしょうね。CPUシンクに水冷システムが採用されたないことでもわかります。

CPUの消費電力の指標のひとつに、TDP(Thermal Design Power。熱設計電力)があります。Xeon 5150(←2.67GHzモデルに搭載)の場合65W、Xeon 5160(←MacPro 3GHzモデルに搭載)の場合TDPは80W、と公表されています。じゃあ、PowerPC 970MPはどうかというと、残念ながらTDPの数値が発表されていないので直接比較ができませんが、CNET Newsの記事[ IBM、デュアルコアチップ「PowerPC 970MP」の省電力性能をアピール ]の中で、「最大消費電力は100ワット」と述べられています。ここでいう"最大消費電力"とTDPが同じとは限りませんが、まあ、PowerPC 970MPのTDPもおそらく100W程度と推定できます。

あ、そうそう、発熱といえば、Mac Proではメモリ(667MHz DDR2 FB-DIMM)には放熱用のシンクが必要です。これは、FB-DIMM(fully-buffered DIMM)を採用したからです。FB-DIMM上には、従来のDIMMにはない重要なチップAMB(advanced memory buffer)が載っており、このAMBが発する熱を逃がすため、メモリにもヒートシンクが必要になったのです。

ロジックボードのメモリバス(CPU=メモリコントローラ=メモリとの間)を見ると、PowerMac G5ではDIMMを使ってのパラレル接続だったのですが、Mac ProではFB-DIMMを採用してシリアル接続に変更されています。これは、PowerMac G5のローカルバスがパラレルのPCIだったのをMac ProではシリアルのPCI Expressに変更されたのと、同じ事情で、これらが、Mac Proのロジックボードの大きな特徴のひとつです。
CPUとFB-DIMM上のAMBの間がシリアル接続されており、AMBでシリアル/パラレル変換がなされ、AMBと各DRAMモジュール間はパラレル接続されます。

FB-DIMMの特徴は、

高容量化が可能(従来型DIMMでは 8GBが限界だが、FB-DIMM採用によりこれ以上の容量が可能)

メモリを潤沢に搭載した場合、従来型DIMMよりも高速

という二点が上げられます。逆にいうと、大容量メモリを搭載しないような"普通の用途のパソコン"では、FB-DIMM採用のメリットが出ません(その上、AMB等の採用によりコストアップする!!)。それこそ、DTVのようなハイエンド用途で、しかも大量にメモリを搭載してこそ、コストアップに見合うだけの、FB-DIMMの"意味"が出てくるわけです。

おおむね、5GB以下だと従来のDIMMと変わらない。これ以上のメモリ搭載ではFB-DIMMの速度向上効果が現れる、とされています。

後日談)2008.07.18 FB-DIMM on MacProのメモリスループットで、実際にMac Proに使ってメモリスループットを測定した結果をご紹介しています。

一方で、"普通の用途のパソコン"で採用される見込みがないのは、FB-DIMMにとっては非常に不幸なことで、もともと従来型のDIMMよりもAMBの分だけコスト高になるのに、さらに量産効果が働かないわけだから、価格が高いのが最大の欠点です。

長くなりましたね。例によって続きます。

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