2002.01.11 MACLIFE閉刊

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MacWireの記事[ エクシードプレスの業務停止に伴いMACLIFEが廃刊へ,2001年末号が最終号 ]ってなに?? うっそー。

まあ、2001.12.19 Macな日々/あぶないんじゃないかなあで、今月のMACLIFE(上の文章の「2001年末号」ってやつです)の広告が少なすぎる、これじゃビジネスになってないから、やばいんじゃないか??、と書きましたけど、あ〜あ、当たっちゃいました。


結構、(Mac雑誌に限らず)パソコン雑誌って、あるいは、広い意味での「趣味誌」ってのは、先行きが見えなくなると記事の内容がマニアックに先鋭化する、って傾向があります。

雑誌などの内容は、「一般の読者の「1歩先」をいかなくてはならない、決して「2歩先」をいってはいけない」という言い方をされることがあります。
読者層は「一般ユーザ」を想定すべきで、決してマニアをターゲットにしてはいけない。記事としては面白いかも知れないが、雑誌としてのビジネスとして、少数のマニア相手では商売にならないから、といった意味です。

記事がマニアックに先鋭化するってのは、拡大再生産する傾向があります。「どうやったら売れるのか、読者の興味を引けるのか」を考える編集者の感覚が世間一般からずれてしまって若干マニアックにずれてしまっていて、最初は若干マニアックな記事が出たとしましょう。その記事に対して「一部の読者」から「熱狂的な支持」が得られます。だから、それに味をしめて、次はさらに受けるであろうマニアック傾向の記事を出す、それに対してやはり熱狂的な支持がある...、と何度も繰り返すことで、「一部の読者」には受けるのだけれど、大多数の読者層には受けない、商売(発行部数)にはつながらない雑誌になってしまいます。
この辺りの戒めが、 「雑誌などの内容は、一般の読者の「1歩先」をいかなくてはならない、決して「2歩先」をいってはいけない」という意味です。

MACLIFE誌を例にしましょう。
きしくも最終号の読者からの声欄には、大好評「プレミアムMac大博覧会」に反響の嵐、とあります。前々号に特集したいわゆる「Old Macもの」記事に寄せられた読者の感想集なのですが、たしかに古くからのMacユーザには受けるでしょうが(わたしなんかからしても、懐かしくて、記事自体は確かに面白かったです)、一方で、最近iMacやiBookを購入したユーザ層(←人数が多い)にはほとんど関係ない内容です。でも、たぶん、編集部へのアンケートハガキには、この記事に対する反響はおおきかったんでしょうね。
こうやって、編集者の「感覚」が世間一般と徐々にずれていくわけです。

もうひとつMACLIFEの例を挙げましょう。
2001.12.28 批判的立場という記事で、

批判的な言動、というのは、深い議論のために必須ですが、一方で、ニヒリズムに陥りやすいですね。.......でも、じゃあ、iPodも作らず、Mac OS Xも開発せず....、というのが賢明、「何にもしない」ことが得策、ということになってしまうのではないかと。

と書きましたが、これはまさにMACLIFE誌のMACLIFE apeXという連載記事に対する感想でした。この連載、「AppleとMacを正しい視点で批評する」というサブタイトルなのですが、ここなんかも先鋭化しているなあ。指摘自体は、いちいち「正しい」とはおもうのですが、一方で、読んでいると、Mac OS Xの足りないところ、Appleの足りないダメなところをこれでもかこれでもか、と毎号列挙しているので、読んでるうちに重苦しくなってきます。
指摘が正しい/正しくない、という議論とは別に、読者がこんな記事を読みたいと思うか、という視点が欠けているように思います。(こういった基調のサイトがあれば、ある意味で人気サイトになるにちがいない、とは思います。ですが、雑誌連載としてはどうなのかなあ、とお節介にも思ってしまいます)。
  
ちなみに、生物学・進化論の言葉で、こういった現象を「定向進化」と呼びます。大昔栄えていた、サーベルタイガー(長い牙を持つ北方に棲むトラ)などが絶滅したのも「定向進化」の例で、進化の方向が鋭敏化すると(サーベルタイガーの場合、牙が長くなればなるほど、仲間内では有利だった、ある時期までは)、それがかえって、環境の変化(寒冷化、ヒトの進出)への対応がとれなくなり、長い牙ゆえに滅亡に向かった、といった概念です。

人間社会にもそんな傾向を持つ現象が多々あります。
日本のプロ野球なんかもまさに「定向進化」に見えます。熱狂的なファンと、その異様な世界に入ってゆけない一般人(笑)。
   
今は、雑誌受難の時代でしょうね。なにせ、マニアックな記事は、ネットで見る方が充実しています(笑)。Old Macにしても、機種ごとにサイトが存在していますし。
また、DTV特集も、一部に受けるけど雑誌の売りに貢献しない(笑)、とされています(笑)。その分、
MacDTV.comといったマニアックなサイトの存在価値があるわけですが...(笑)。
というようなことを、MACLIFE誌、廃刊の報を聞いて考えてしまいました。


わたしの雑誌デビューが、MACLIFE誌だけに、感慨もひとしおです。
わたしの初原稿は、1997年10号のこのMOMENTO記事6ページでした。この記事が、
MacDTV.comの原点、といってもいいかもしれません。

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この記事のURL: http://www.macdtv.com/Macunamatata/Articles/20020111/index.html