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この項では、QuickTimeムービーファイルのトラックについて解説します。

QuickTimeムービーファイルのトラック

QuickTimeで利用するファイルのことを、Movie（ムービー）と呼びます。

このQuickTime Movieファイルは、いくつかのトラックから構成されています。例えば、狭い意味でのDTV（ビデオ編集）に関連の深いトラックには、

● ビデオトラック
● サウンドトラック
● TimeCodeトラック

がありますし、もう少し、"マルチメディア"的なトラックでは、

● MIDIトラック
● テキストトラック
● スプライトトラック

などなど、数多く用意されています。

このように、ビデオ、オーディオ、音楽、各種情報などのデータをそれぞれの用途・性格に応じて「引き出し」に整理・収納する、これがトラックの考え方です。

QuickTimeは、これらの「トラック」の管理の役目がありますが、さらに重要なことに、これらのすべてのトラックについて「同期を取る」という重要な機能をも担っています。

「同期を取る」とは、例えば、

ビデオトラックの再生すべきデータ量が多すぎ、律儀に優先してビデオトラックだけを再生させると、他のトラックに影響が出る場合（例えば、サウンドトラックなら音飛びが生じる場合等）には、
ばっさりとビデオトラックの律儀な再生をあきらめて、適度な程度にコマ落ちさせる、といった処理を行い、
すべてのトラックについて、1秒間のデータなら、かならず1秒間終了させる

といったことを意味します。

トラックによる管理の有利な点は、

Movieファイル再生中のマウスクリックにインタラクティブに反応する、

例えば、あるコマのある部分がクリックされたら、例えば、別のMovieやどこかのホームページにジャンプする、

といったいかにもマルチメディア的な芸当が簡単にできることで、端的に示されています。つまり、これは、トラックごとに管理されつつも、各トラックが同期を取りながら統一的に扱われているからなのです。

また、QuickTimeに新機能を搭載する際、ムービーファイルのフォーマット全体の変更の必要はなく、ムービーファイルにそのトラックを追加するだけで事足りるのです。このように、QuickTimeの進歩（柔軟な拡張性）の礎となっているのは、コンポーネント構造にあります。コンポーネントによる柔軟な拡張については、圧縮方法（Codec）の項でも触れます。

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