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CHAPTER1.5
ハードディスクについて
2000.01.31初稿
2004.11.15改訂
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ビギナーでも「DTVではやたら速いハードディスクが必要で、さらに大容量を消費する」ことはご存じでしょう。ここでは、ハードディスク選択のポイントについて解説します。

書籍版「Mac de DTV Macでお手軽ビデオ編集」37ページ〜

DTVをやるには、大量のデータを高速で読み書きする必要があることは、ご存じの通りですが、その際、ポイントとなるのは、やはりなんといってもHDDの能力です。もちろん、HDD単体の性能ではなく、DTVシステム全体としての総合性能ですが...。

そこで、ここでは、HDDをめぐる話題にふれます。

SCSIについて

まず、簡単にSCSIについておさらいしておきましょう。

SCSIというのは、言うまでもなく、HDD、MO Drive、CD-ROM Driveなどの周辺機器をコンピュータに接続するための規格です。パラレル接続(信号線が複数本あるので、同時に双方向のやりとりが出来る)の代表選手です。

規格

ピン数

最高速度*)理論値

最大接続台数

ケーブル長

実効速度の目安

Macintoshでの代表的な採用例
SCSC-1   

50pin

5 MB/s

7台

6 m

2〜3MB/s
外部SCSI端子
SCSI-2(FastSCSIともいう)
  FastSCSI

50pin

10 MB/s

7台

3 m

4〜6MB/s
PowerMac以降の内蔵SCSI端子
FastWideSCSI

68pin

20 MB/s

15台

3 m

5〜7MB/s
SCSIカードの利用
SCSI-3(UltraSCSIともいう)
  UltraSCSI

50pin

20MB/s

7または3台

1.5 m

6〜9MB/s
SCSIカードの利用
UltraWideSCSI

68pin

40MB/s

7または3台

1.5 m

7〜10MB/s
PowerMac G3 MTのSCSIモデル
Ultra-2 SCSI (LVD)

68pin

80MB/s

15台

12 m

〜15MB/s
PowerMac G3 Blue & WhiteのSCSIモデル
Ultra-160 SCSI

68pin

160MB/s

 
      

*)同期転送時。非同期転送時は、それぞれ半分。

実効速度の目安については私の独断ですが、まあ、こんなものだと思いますよ。
これまで、SCSI〜UltraWideSCSIのすべて、5400rpm〜10000rpmのHDDを試してみた結果です。といっても合計10機種くらいですけど...。

規格は規格として、現在のHDDでは、ドライブ自体の性能が利いてくるので、実際はこの程度のものであるとお考えください。

それにしてもUltraSCSIってどうもデリケートですねえ。
うちでは、PowerDomain 2940UWで見えるドライブがPowerDomain 3940UWDでは認識されなかったりします(ケーブルもAdaptec純正を使っているのですがねえ)。しかも、アダプテック社さんに相談したら「UltraSCSIをDisableしてください」とのこと。なんのこっちゃ(笑)。

SingleEndの場合、ケーブル長の制限は、SCSI-1は6mまで、SCSI-2は3mまで、SCSI-3は1.4mまでですので、SingleEndの限界でしょうか。今後はDifferencialですね。実際、PM G3 Blue&White /400MHzでは、ついにUltra-2(LVD) SCSIカードが採用されていますからね。

なお、SingleEndとDifferencialについては、SCSIをめぐる話題/98年夏で解説しております。

ATAについて

次に、簡単にATAについておさらいしておきましょう。

ATAというのは、言うまでもなく、HDD、MO Drive、CD-ROM Driveなどの周辺機器をコンピュータに接続するための規格です。ただし、SCSIと異なる点は、内蔵用の周辺機器との接続のみが考慮されている点です。そのため、ケーブル長は0.46m(18インチ)まで、となっています。

規格名称

規格上限速度

最大接続台数

ケーブル長

Macintoshでの代表的な採用例
ATA-1(E-IDE)

8.3MB/s

4台

0.46 m
LCシリーズ、Performaシリーズなど
これらの機種ではセカンダリ、スレーブ非対応であったため、接続台数は1台だけだった。
ATA-2

16.7MB/s

4台

0.46 m
PowerMac G3 MT,DTシリーズなど。
スレーブ対応は、Revision 2以降の機種から。
iMac Revision A〜C
UltraATA/DMA33

33MB/s

4台

0.46 m
PowerMac G3 Blue & White
UltraATA/DMA66

66MB/s

4台

0.46 m
PowerMac G4,iMac DVなど。

SCSIとATA、どっちを選ぶ??

規格理論値やベンチマークテストでの速度を見る限り、ATA HDDも充分に速いですし、なによりも安価に大容量HDDが入手できるATAですから、大容量を消費するDTV用途には向いているとお考えかもしれません。

ただ、ATA HDDは、使ってみるとベンチマーク結果ほどには実効速度が速くない印象を受けます。突発的に速度が落ちる感もあります。

SCSIの場合は、煩雑な手続き(ネゴシエーション)を行ってでも確実な送信を狙っているのですが、それに対して、ATAは、「とにかくデータを送る、リトライが多くても気にしない」という仕様なので、ATAは「瞬間最大速度」的なベンチマークテストでは速くみえる(特に、少容量のランダムR/W)割には、リトライ待ちの分だけ実行速度はさほどではないことは、もともと抱えています。
ですから、DTVのように大容量のシーケンシャルR/Wとなると、(ネゴシエーションを差し引いても)SCSIの方が有利になります。

なお、ATAの場合、CPUに負荷がかかるためDTVに向いていない、という話も過去にありました。たしかに、ATA-2以前のしかもPIOモードではまさにそのとおりでしたが、現在のUltraATA/33や/66では、CPUでなくロジックボード上のATAコントローラがHDDを制御するので、もはや過去の話です。それに、いまやDMAモードなのですから。

また、一定間隔で速度が落ちるというのは、HDDの物理的な機構なのでしかたがない面があります。つまり、シリンダとシリンダ間でヘッドが移るとき、一瞬だけでもがくんと速度が落ちるのです。これにも一因があるかもしれませんね。

各セクタごとにベンチを取ってゆくとわかります。でも、これを調べるベンチマークソフトをMacで見かけたことがありませんので、実測することができません。Winならあるんですけどね。

さて、一般論はここまでとして、では実際に、SCSIとATA、どちらを選ぶか、ですが、

DV(シングルストリーム)の場合では、今の7200rpm ATA HDDであれば充分まかなえるでしょう。ATA HDDの場合、大容量のものを安価に入手できますし、PowerMac G4の筐体なら増設スペースもありますし、増設作業も非常に簡単です。

また、ATA HDDの泣き所であった、接続台数の少なさについても、FireWire用HDDケース(ケースのインターフェースはFireWireだが、ケース内部でFireWire-ATA変換することで、ATA HDDを使用することができる)を使えば、外付けにもできるようになりました。

一方で、ハイエンドアナログキャプチャーであるとか、近く登場するDVデュアルストリームの場合は、SCSI(のRAID)を選択せざるを得ません。また、DVシングルストリームでも、1時間近い連続書き出しの場合には、コマ落ちリスクをできる限り回避するためにSCSIを選択する方をお勧めします。

私の場合、DV取り込み・書き出し用に、9GB×2のSCSI HDDをRAIDにしています。編集用HDDには、2台のATA HDDを使用していますが。

結局のところ、一般的な用途では、安価なATA HDD以外考えられません。SCSIは今後、サーバ用途といったプロフェッショナル用途に特化してゆき、高価だけれど、確実・高速・高信頼性、といった特徴を延ばしてゆくでしょう。

このとき、DTVというのは、一般用途ではなくプロフェッショナル用途(に近いもの)には違いありません。ATA HDDかSCSI HDDか、その分水嶺は、DVシングルストリームか、さらにそれ以上をねらうのか、にあります。

書籍版「Mac de DTV Macでお手軽ビデオ編集」のこのChaptureでは、 こういった内容を詳しく解説しています。

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