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圧縮ってなに?? |
1998.01.01初稿
2005.07.24改訂 |
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この項では、ビデオ圧縮について解説します。ビデオ圧縮は、DTVならではの考え方であり、圧縮を理解することがひとつの大きなポイントですので、じっくり説明して参ります。
圧縮ってなに??
TVの表示というのは、簡単に言うと、
1秒間に30枚の速度で「紙芝居」をめくってゆく
ことに相当します。
紙芝居の1枚一枚のことを、フレーム、
紙芝居をめくる速度のことを、フレームレート
フレームレート(速度)の単位は、fps(frame per second)、
と呼びます。つまり、この場合、30fps。
このたとえでいうと、DTVというのは、
紙芝居1枚1枚に、画を描き加えてたり効果を与えたりすること
にほかなりません。
フレーム(紙芝居の1枚1枚)の「紙の大きさ」のことをフレームサイズといいますが、通常、横640ドット×縦480ドットの大きさです。
640×480サイズのことを、"PC側でのビデオ"の世界では「フルサイズ」と呼びます。
640×480静止画をRGBフルカラー(約1670万色、R,G,B各8bit)で描画した場合、そのデータ量は、約900kBとなりますから、これを30fpsの速度でめくってゆくのですから、1秒あたり約27MBのデータを処理する必要があります。これは、Macを含む「現在のパソコン」にとっても、速度と容量の両面で、楽々と達成できる数値ではありません。
速度の面では、転送速度27MB/s(メガバイト・パー・秒)というのは、未だに非常に大きく、現状では標準仕様のパソコンで扱いきれるデータ量ではありません。最低でもRAIDによるHDD速度向上策が必須です。
容量の面でも、大問題です。1秒で27MBなのですから、2GBのHDDにたった74秒分のムービーしか作れません。これじゃ、実際に使いようがないですよね。
たかだか640×480サイズですら、こうなのです。ましてや、いま普及しつつあるHDデジタルビデオ(1080iの1920×1080や720pの1280×720など)だったら...。
従って、なんらかの方法で、パソコンが扱いきれる程度までデータ量を減らしてやる必要があります。この処理が「圧縮」です。
可逆圧縮と不可逆圧縮
こうして、速度・容量の面から、なんらかの「圧縮」処理で、データ量を減らしてやらなければならないことは、お判り頂けたかと思います。
さて、DTVでの「圧縮」には大きく分けて、可逆圧縮と非可逆圧縮があります。
可逆圧縮
可逆圧縮とは、文字通り「圧縮されたムービーを伸張したときのビデオ画像は、圧縮前のオリジナルの画像と全く同一であること」。
ビデオデータも、要は、ほかのファイルと同様に、0と1のデジタル信号が並んだものです。
例えば、0101010101とか011011011011等なんらかの規則性をもった文字列を他の記号に置き換える(前者は0110に、後者は0011に、とか)、といったルールを決めておけば、データ量は削減できます(この例ではデータ量は1/3に)。
こういった処理ならば、逆の計算をすれば、元のデータを復元できます(この点から"可逆"と呼ばれます)。
StuffItやZipといったファイル圧縮ソフトでは、こういった仕組み(可逆圧縮)を利用しているのはいうまでもありませんが、DTVでの圧縮においても可逆圧縮は存在しており、圧縮されたムービーを伸張したときのビデオ画像は、圧縮前のオリジナルの画像と全く同一、画質のロスがない、という点からロスレス(Lossless)圧縮と呼ばれています。標準的なビデオ画像の場合、ロスレス圧縮だけで約1/2に圧縮可能です。
不可逆圧縮
ところで、Macで圧縮というと、StuffItとか、Zipなどの圧縮ソフト(いわゆるアーカイバソフト
)を思い浮かべるかも知れません。
「アーカイバでの圧縮」と「DTVでの圧縮」とを比べてみると、
アーカイバソフト | DTVでの圧縮 | |
圧縮の可逆性 | 可逆であることが必須 | 不可逆圧縮であっても許される(ことが多い) |
処理スピード | 処理スピード自体は (あまり)問われない |
リアルタイムの圧縮処理が要求される(場合が多い) |
まさか、アーカイバで、圧縮前のファイルと圧縮後ファイルとで中身が違ってたりしたら、許されませんよねえ。例えば、6文字おきに伏せ字に変わっていたり、1(イチ)とl(エル)が似ているからと言って入れ違ってたりしたら...(笑)。
ところが、DTVでは、非可逆圧縮はよく使用されます。DVもそうですし、MPEGもそう。MacやPCの世界は、可逆圧縮の方がまれです。
DTVにおいて、非可逆圧縮が許されるのは、圧縮したムービーを伸張したときのビデオ画像がオリジナルデータと(コンピュータでいうところの厳密に)一致してなければならないわけではないからです。つまり、人間の目で見たとき、圧縮前後で違いがわからなければ、まあ許容しましょう、ということですね。たとえば、デジカメ静止画のJPEG圧縮された画像を見ても、許容されていますよね。
空間圧縮と時間圧縮
圧縮の方法には、QuickTimeがサポートしているものだけでも、20種類以上ありますが、この仕組みをもとに分類すると、空間圧縮と時間圧縮の2種類に分類可能です。
映像データは、非常に冗長性が高いです。というのは、フレーム内、フレーム間を考えてみると、
フレーム内では、あるピクセルを考えると、その近傍のピクセルの情報から近似が可能である
フレーム間では、その前後のフレームから、予測可能である
という特徴があるからです。
例えば「青空を飛ぶ飛行機」というビデオ画像を考えましょう。
青空部分をとってみると、フレーム上のあるひとつのピクセルは、その近傍のピクセルから近似が可能です。青空ですから、微妙にグラデーションがかかっているでしょうが、グラデーションは連続していますので、そのピクセルの近くのピクセルの情報から予測可能ですね。こちらが、空間型圧縮、フレーム内圧縮ともいいます。
一方、図柄としては、バックの青空部分は前後のフレームで一緒、飛行機が動いている部分だけがフレーム間で違っています。つまり、青空部分は、その前後のフレームから予測できます。こちらが、時間型圧縮、フレーム相関圧縮とも呼ばれます。
デジカメ静止画は1フレームしか持たないビデオ、ととらえることができますが、この場合、空間型圧縮(フレーム内圧縮)を行うしか手がないですね。でも、ビデオの場合、空間型圧縮(フレーム内圧縮)の加えて、フレーム間の相関を使用して、一気にデータ量を削減できる時間型圧縮を行うこともできます。
両者の特徴をまとめてみます。
空間圧縮 | 時間圧縮 | |
圧縮の仕組み | 個々のフレーム内だけで、圧縮処理を完結させる | キーフレームとの 差分により圧縮する |
圧縮効率 | 時間型圧縮に劣る | 高い (その割に高画質を確保) |
処理速度 | 比較的早い リアルタイム圧縮にむいている |
遅い そのため、PostCompress 処理とならざるをえない |
編集の自由度 | 編集向き | 自由度は低い |
代表的な Codec |
・Motion-JPEG ・DV codec |
・CinePak ・MPEG 両者とも空間圧縮も併用してます。 |
Read more... | 空間圧縮 | 時間圧縮 |
両者の特徴を考えると、
・編集段階は、空間型圧縮(M-JPEGが一般的)で行い、
・最終作品(完パケ)作成段階で時間型圧縮でおこなう
というやり方が、もっともむいています。
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