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DTVにおける2GBの壁 1999年夏版

1999.07.08初稿
2002.07.20改訂

DTVで長時間編集をするときになにかとひっかかってしまう、いわゆる2GBの壁。この制限について、1999年7月時点における情報をまとめました。

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  2GBの壁、崩壊!!

   DTVにおける2GBの壁 1999年夏


MacOSにおける2GBの壁については、以下の異なるレベルでの仕様が足枷になっております。

OSレベル(ファイルシステムとAPI)

QuickTimeレベル

アプリケーションレベル

ファイルシステムについては、MacOS8.1以降に搭載されているMac拡張フォーマット(Mac Extended Format)、いわゆるHFS plusにより1ファイル2GBの制限は解消されました。

この辺の解説は、MacOS8.1の登場で2GBの壁は崩れたか...でくわしく説明しております。

しかしながら、現実に2GBの壁は存在します。それはなぜでしょう。

これには、QuickTime、MacOS APIのふたつの制限が残っているからのようです。
従って、これらの制限を解消しない限り、根本的に2GBの壁が崩れることにはなりません。

その話しをする前に、暫定的に2GBの壁を解消するアプローチが採られてますので、そのことを説明しましょう。


ビデオに書き出し時 参照ムービー

これは、2GBの複数のムービーファイルの管理情報部分だけを集めた(生データを含まない)ムービーのことで、いわばムービーのエイリアスを集めたモノをイメージしていただくと良いでしょう。

参照ムービー1)では、映像・音声などの生データを含んでいないため、容量を消費しません。そのため、滅多なことでは2GBの容量に到達することはありません。

1) 参照ムービー... referencing movieともいいます。



図 参照ムービー機能の概念図


参照ムービーを再生すると、複数のムービーを連続再生してくれますので、そのファイルを扱うときにはあたかも2GBの壁が取り除かれたかのようです。ただ、参照元ムービーを謝って削除すると再生できないので、こんな時、真の意味での2GBの壁が無くなった訳ではないことを思い出すことになります。

参照ムービー機能は、個別の製品に依存する固有の機能2)ではなく、QuickTimeが提供してくれる機能ですので、QuickTimeに対応したソフトであればどんなものでも同じように利用できます。

2) 固有の機能ではなく...

WINの参照AVIは、個別製品に依存する(別の製品ではその参照AVIファイルが利用できない)ことがありますので、ご注意下さい。というか、今年になって、某製品が「参照AVI機能により、2GBの壁を解消!!」なんて宣伝で有名になりましたけど、Macユーザとしては「参照ムービーが売り文句になるのか」とかえって仰天してました。だって、Macなら、それ以前から当たり前のように参照ムービーが作れてましたもの、Movie Playerですら。

ある意味で、FireMAXのPremiereプラグイン「Referencing Movie」も、えーこんなの当たり前ジャン、と思っていたクチです。まあ、Premiereから参照ムービーを直接書き出せるようになった点では評価してましたけど、それ以前からPremiere4.xのコンストラクションに複数のムービーを配置して、ビデオに書き出すと長時間書き出しも可能でしたから、Premiereユーザとしても実質困っていなかったのですね。

これにより、ビデオ書き出し時においては、暫定的ながら2GBの壁が解消したことになります。


ビデオを取り込み時 ChainCapture(連続分割取り込み機能)

取り込み時に2GBの制限に到達すると、別のファイルに連続的に分割書き込みする機能です。

ムービーが2GBに到達したら、次のムービーへと連続的に取り込み続けます。


   


図 ChainCapture機能の概念図


フリーウェアでは、かねこさんのQT ChainCapture3)が有名ですね。また、FinalCutProなんかも2GBずつ連続分割取り込みしております。

3) QT ChainCapture...作者:かねこさん(Mac de DTV掲示板では、Yosemiteさん)

かねこさんによると、

QT3.0からすでに搭載されていた機能で、QuickTimeのSGSetOutputNextOutputという関数を利用している

(MacDTV掲示板99年5月の過去ログ高画質プレビュー参照)

とのこと。ですから、他のアプリでもこれを利用してくれると、ChainCaptureが可能になるということですね。実際、Macの場合はビデオ入力(ソース)もQuickTime(のImage Compression Manger)が一手に引き受けてくれますから、これでアプリを越えたデータ連携が可能ということになります。

ChainCaptureについては、明らかにWIN製品の方が先行しました。ただし、例によって、製品個別の対応です。
Macの場合は、やはり、QuickTimeというレベルで連続取り込みに対応したため、QuickTime対応ソフトならなんでも利用できるようになっています。この辺がMacの流儀ですね。


現時点でなにが「あしかせ」になっているのか...

先程、

OSレベル(ファイルシステムとAPI)

QuickTimeレベル

アプリケーションレベル

での仕様の制限がある、と説明しました。そして、ファイルシステムについては、HFS plusにより1ファイル2GBの制限は解消されました。しかしながら、依然、QuickTime、MacOS APIのふたつの制限が残っているようです。従って、これらの制限を解消しない限り、根本的に2GBの壁が崩れることにはなりません。

そのうち、

QuickTimeの仕様については、
QT4.0の登場によりファイルシステム部分が64bits化したとのことで、QT側の制限は現時点で外れたものと思われます。

2GB overファイル作成のAPI4)については、

4) API(Application Program Interface)

アプリケーションがプログラム中で利用する共通機能を定めたインターフェース。例えば、MacOSの提供するAPIを利用すれば、各アプリケーション間で共通の機能を利用できるよう定めた仕組み。

MacOS8.6の時点で未公開なので、現時点ではムービーに限らず2GB overのファイルは作成できません。2GB overファイル作成のAPIについては、どうも、時期MacOS 8.x(Sonata)への搭載が決まったようなので(確証無し)
早ければ、この秋のSonataの登場で、真の意味での「2GBの壁が崩れる」のかもしれませんね。


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