2006.05.13 AVCHD規格の"画質"予想

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MacDTV.comの記事[ 2006.05.12 HDデジタルビデオカメラ規格 AVCHD ]にて、

どれくらいのビットレートなら、どれくらいの画質が期待できるか、というと。
1080/60i(1440×1080サイズ)の場合、12MbpsのAVCHD と、HDV 1080/60i(ちなみに25Mbps)ならば、同じくらいの"画質"、

と、大胆にも予想してしまったもので、その根拠?!などを記しておきます。

始めにお断りしておきますが、
一般に画質というと、非常に広い意味に使われることばですが、ここでいう"画質"とは、わざと引用符でくくって"画質"と表記してますとおり、「オリジナルデータ(非圧縮時)を圧縮処理する際の劣化に関して」といった、ごく狭い意味で使っています。例えば、

ビットレート6Mbps、フレームサイズ720×480のSD MPEG-2ビデオの"画質"は、
ビットレート27Mbps、フレームサイズ1440×1080のHD MPEG-2ビデオの"画質"と同じ
(圧縮方式はどちらも同じMPEG-2、違いはフレームサイズが大きくなったことだけ。フレームサイズの増加分だけビットレートもおなじ割合で大きくなっているのだから、同じ"画質"のはず

といったニュアンスで"画質"ということばを使ってます。
画質は、「オリジナルデータ(非圧縮時)を圧縮処理する際の劣化」(引用符付きの"画質")のみで決まるわけではありません。撮影時のカメラの性能にもよりますし、あるいは、圧縮以外の信号処理にも依存するでしょう。
あくまでも、この記事(および[ 2006.05.12 HDデジタルビデオカメラ規格 AVCHD ])でいう"画質"とは、前述のような「狭い意味」で用いています。


では、とりあえず、AVCHD 12Mbpsというビットレートは、画質的にはどんなものなのか、というと。超おおざっぱにHDVと比較してみます。

デジタルビデオの信号処理量は、フレームサイズ、フレームレート、サンプリング方法、圧縮方法(Codec)、で決まります。HDV1080/60iでは、これらの設定値は下表のとおりの値に固定されています。一方、AVCHDでは、フレームサイズとビットレートは選択可能なので、まずは、HDV1080/60iと同等の設定値を入れてみます。

  AVCHD 1080/60i HDV1080/60i
設定:1440×1080, 12Mbs
フレームサイズ 1440×1080 1440×1080
フレームレート 30fps,インターレース 30fps,インターレース
サンプリング方法 4:2:0サンプリング
8ビット量子化
4:2:0サンプリング
8ビット量子化
ビデオの圧縮方法 H.264 MPEG-2
ビットレート 12Mbps 25Mbps

上表で、両者で異なっている点は、圧縮方法とビットレートだけです。

一般的に、H.264は、「MPEG-2の約2倍の圧縮効率」とされていますので、ビットレートの低減は、基本的にはH.264採用の成果といえましょう。早い話、HDV1080/60i(1440×1080。MPEG2、ビットレートは25Mbps)で、もし、圧縮方式をH.264に変更したとしたら、ビットレートは今の半分の12Mbps程度で済むはずです。この設定値のAVCHD 1080/60iは、"画質"的にはHDV1080/60i並、と予想でできます(うーむ、おおざっぱすぎるかなあ(笑))。

次に、AVCHD 1080/60iでも設定値を変えて、高"画質"化を図るとどうでしょうか。二つの考え方があります。

ひとつは、フレームサイズを1440×1080のままにして、圧縮率を下げてやるやりかた。このやりかただと、圧縮率を12/18=2/3に下げてやることが出来ます。圧縮率を下げてやることでHDV1080/60iよりも高画質、というイメージです。

二つ目は、フレームサイズを1920×1080(フルHDサイズ)に上げて高精細化をねらうやり方。フレームサイズが大きくなった分上表の条件よりもデータ量が1.33倍に増えます。その分を単純にビットレートをあげて吸収するとしても、12×1.333=16Mbpsですから、さらにスペック上限18Mbpsぎりきりまで活用して圧縮率を若干下げてやる(高画質化)ことも可能です。HDV1080/60iよりも高精細、というイメージです。

もう一例、720pで比較してみます。
現在、HDVの720p(ビットレート18Mbps)は720/30pしか存在してません。本命は、なんといっても(30pではなく)HDV720/60pであり、720pに力を入れている日本ビクターとしても720/60pを目指して開発しているはずです。

ところが、MPEG-2の2倍の圧縮効率を採用するAVCHDならば、HDV720/30pと同じビットレートである18Mbpsで、フレームレートを倍の60fpsに上げてやることが可能です。たとえば、下表のように。

  AVCHD 720/60p HDV720/30p
設定:18Mbs
フレームサイズ 1280×720 1280×720
フレームレート 60fps,プログレッシブ 30fps,プログレッシブ
サンプリング方法 4:2:0サンプリング
8ビット量子化
4:2:0サンプリング
8ビット量子化
ビデオの圧縮方法 H.264 MPEG-2
ビットレート 18Mbps 18Mbps


こんなかんじで、HDV720/30p(1280×720。MPEG2、ビットレート18Mbps)と、AVCHD720/60p(1280×720。H.264、ビットレート最高18Mbps)とを比較しますと、"画質"的にはほぼ同等(H.264採用による高圧縮効果をフレームレートの向上(30p→60p)に活用)、と値踏みできます。

このように、1080iと720pについて、HDVと比較することで、AVCHD規格の"画質"面での予想・可能性を考えてきましたが、HDVかそれ以上が期待できそうですね。

結局のところ、いまのところ、AVCHDがいまひとつに思えるのは、現状メディアの容量の制限(8cmDVDを使用する以上収録時間が短く、それだけにビットレートを上げるのはためらわれる)のせいなのです。
しかし、これは、次世代DVD(Blu-ray Disc VideoやHD DVD-Video)が普及すれば解決します。ちなみに、Blu-ray Disc VideoでもHD DVD-Videoでも、ビデオフォーマットとして、AVCHDと同じMPEG-4 AVC/H.264が採用されていますから、基本的にAVCHDと次世代DVDは親和性が高いのです。
あるいは、松下のようにメモリもいいでしょうね。あるいは、HDVテープに収録するようなビデオカメラもいいかもしれない。もりろん、HDDビデオカメラも。

メディア容量の制限が解決すれば、ビデオフォーマットとしてのAVCHDは、標準でもHDV並みの"画質"が期待でき、しかも、さらなる高"画質"化の余地も秘めた規格だ、といえるでしょう。

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