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Lumiere HD
2005.01.02初稿
2005.01.29改訂
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Lumiere Media社のHDVツールLumiere HDを紹介します。

  

Lumiere HDは、以下のワークフローで、HDVの取り込み、Final Cut Proでの編集、HDVへの書き出しを行います。

(1) HDVカメラからMacへFireWire経由でのMPEG2-TSデータキャプチャリング、

(2) MPEG2-TSファイルを、MPEG2-PSとAudioファイルとへDemux、

(3) MPEG2-PSファイルをQuickTimeの任意のCodecへとTranscodec、
    同時に、Final Cut Proへ持ち込むためのXMLファイルの作成

(4) Final Cut Pro上で、XMLファイル読み込み

(5) Final Cut Proで編集

(6) QuickTimeムービーへ書き出し

(7) MPEG2-TSへ変換

(8) HDVテープへ書き出し

このうち、太字カッコがLumiere HDで担うステップ、細字カッコが従来通りのFinal Cut Proでの操作を示します。

なお、(5)の工程で、Final Cut Express 2には存在しないセットアップファイルを利用するので、LumiereとFinal Cut Expressでの組み合わせではHDV編集はできない、ということになります。Final Cut Express HD待ちですね。

これらのプロセスを順に追ってゆきます。

(1) HDVカメラからMacへFireWire経由でのMPEG2-TSデータキャプチャリング

基本的にはDVキャプチャーと同じ要領でして、FireWire経由でHDVカメラと接続すると、Lumiere HD上で認識されます。

カメラの制御(再生・停止、早送り・巻き戻し等)の操作が可能です。

バッチ取り込みなどはありません。「テープ1本まるごと1ファイル」といった、シンプルな取り込みしかできません。

(2) MPEG2-TSファイルを、MPEG2-PSとAudioファイルとへDemux

こうしてHDDに取り込んだファイルは、MPEG2-TS(トランスポートストリーム)形式で記録されています。ファイル名は、*.m2t。

現状のFinal Cut Pro HD(Ver.4.5)では、MPEG2-TSファイルをハンドリングできませんので、QuickTimeムービーに変換します。QuickTimeムービーへの変換工程が、この(2)の工程と、次の(3)の工程です。

この工程では、MPEG2-TSをMPEG2-PSビデオファイルと、AIFFオーディオファイルに分離(Demultiplex)します。

(3) MPEG2-PSファイルをQuickTimeの任意のCodecへとTranscodec、
    同時に、Final Cut Proへ持ち込むためのXMLファイルの作成

前の工程で、ビデオデータはMPEG2-PSファイルへ、オーディオはAIFFファイルへと変換しました。続いて、MPEG2-PSファイルをQuickTimeムービーに変換します。

QuickTime 6 MPEG2再生コンポーネントを利用すれば、Final Cut Pro上でもMPEG2-PSファイルをハンドリングすることは出来ます。できますが、MPEG2-PSファイルを素材として扱うのはとても重いです。エンコードに時間が掛かったり、RT処理が不可だったり...。そんな不便な状況で編集するくらいなら、ハンドリングしやすいQuickTimeムービーに変換してしまった方が賢明です。

ここでは、Presetには、[DVCPRO HD 1080i60]と利用しときます(後述)。

なお、同時に、[Creat FCP XML]もチェックし、Final Cut Proへ持ち込むためのXMLファイルの作成も行います。この処理の意味は、次項(4)でまとめて解説します。

ともかく、ここで、一旦Lumiere HDの役目は終わりです。Lumiere HDとFinal Cut Proは同時に起動しないこと、とのことですので、Lumiere HDを終了し、Final Cut Proを起動します。

(4) Final Cut Pro上で、XMLファイル読み込み

Final Cut Pro上での作業です。ブラウザに素材を登録するには、(3)で作成されたXMLファイルをFinal Cut Proのブラウザにドラッグアンドドロップするだけです。

 

[XMLの読み込み...]ダイアログが表示されますので、確認し、OKを押します。

この場合、ビデオデータのオリジナルは、.mov、オーディオデータのオリジナルは.aifのはずでした。これらの素材を手動でブラウザに登録することも出来ますが、その場合、ビデオとオーディオを個々にドラッグアンドドロップし、タイムライン上で、ビデオとオーディオの位置あわせを手動で行うことになってしまい、非常に面倒です。

そこの手間を省くのが、この[XMLファイル読み込み]で、XMLファイルをFinal Cut Proのブラウザにドラッグアンドドロップすると、.m2vという名前のクリップが登録されます。

このクリップ、オリジナルデータは.movと.aifです。オリジナルを参照し、あたかもビデオとオーディオデータの両方を含んだクリップであるかのように見せかけています。ですから、このクリップをタイムラインにドラッグアンドドロップすると、ビデオトラック、オーディオトラックが両方を一度に登録することが出来ます。

(5) Final Cut Proで編集

あとは、いつも通り、Final Cut Proで編集します。今回使用するプロジェクト設定は、[DVCPRO HD 1080i60]を流用してます。

この設定の概要は、

HD 1080i用。ただし、フレームサイズは1920×1080。一方、今回取り込んできたHDV由来のデータサイズは1440×1080ですので、ここは注意が必要です。

 

Codecは、DV Codecと思えばよい。(圧縮率から言っても、SD DVと同程度と理解して良い)。

データレートは、13.7MB/s。

データレートがSD DVの約4倍 !!なので、編集中の快適さを追求するならば、 offline編集→完成後メディアをonline化、というやりかたもあり得ますね。オフライン編集はFinal Cut Proの得意技ですから。

Premiere Pro for WINでも、プロキシファイルという名のオフライン編集をしてます。

でもまあ、PowerMac G5 2GHz Dual、2.5GB RAM、SATA HDD(非RAID)の環境で、RTプレビューも可能で、そこそこのレスポンスもよいので、これはこれで実用的といえるかも。

(6) QuickTimeムービーへ書き出し

編集終了後、QuickTimeムービーに書き出してFinal Cut Proでの作業は終了です。ここでの設定は、Final Cut Proでのプロジェクト設定のままでかまいません(後工程を考えて、なにか特殊な設定する必要はありません)。

(7) MPEG2-TSへ変換

Final Cut Proを終了し、Lumiere HDDを起動します。Final Cut Proで書き出したQuickTimeムービーをLumiere HDで、MPEG2-TSへ変換します。

(8) HDVテープへ書き出し

取り込みの時と同様、FireWire経由でHDVカメラと接続し、書き出しを実行します。

2005.01現在、Lumiere HD 1.5ベータ版では、HDR-FX1へのテープ書き出しには非対応なので、この工程はこれくらいで...。

こうしてみると、入り口(キャプチャリングとMPEG-TS Demux)と出口(QuickTimeムービー→MPEG-TS変換とHDVテープ書き出し)をLumiere HDが担っており、編集の部分は、Final Cut Proの編集機能を活用しています。

Final Cut Proの編集工程で、オフライン編集機能を活用するなら、Winの製品でいうProxy編集と同等です。また、今回のように、DVCPRO HDのQuickTimeムービーで編集するなら、オンライン編集なのにそこそこRTが実用的に使えます。

このやりかたは、まあ現実的な方策だと思います。実際のところ、今のMac(やPC)の能力からすると(専用ハードウェアを用意しないで)ソフトウェア処理だけでは、これが最適解だと思いますし(2004.11.18 InterBEE、アップルブース)、次期Final Cut ProでのHDV対応ってのも、おそらく、この方式がもう少しエレガントになっただけで、本質的な仕組みは同じだろうと予想しています。

もう少しエレガント... 

たとえば、
レンダリングを加えないシーンについては、オリジナルのMPEG-TSデータを活用する、とか。
「取り込み→Demux→TransCodec」や、「QuickTimeムービー→MPEG-TS変換→HDV書き出し」がFinal Cut Pro上から操作できて一連の処理がバッチ処理されるとか。

各工程に要する処理時間

PowerMac G5 2GHz Dual、2.5GB RAM、純正SATA HDD環境(非RAID)

ソフト
プロセス 実時間比
HDVのキャプチャー 1
m2tからm2v+aifへ書き出し 0.17
m2vからmovへ書き出し 7.76
最終レンダー(1ビデオ+1テロップ) 10.68
最終レンダー(1ビデオを全編再圧縮) 4.67
movからm2tへ書き出し 2.90
HDVテープ書きだし 1

実時間比:1秒のシーンを処理するのに要する秒数。

例えば、1秒のシーンを処理するのに5秒掛かる場合は、実時間比は5です。

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