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 2004.11.18 InterBEE、アップルブース

アップルが、InterBEE 2004レポート ビデオ編集ワークフローの革新を実現したPowerMac G5ソリューション を公開ました。

で、会場のアップルブースでは、HDV Technical Previewと銘打った、HVR-Z1J、HVR-M10JとFinal Cut Pro HDとの競演を行っています。ただ、今回のは、あくまでもデモ。まやかし(失礼(笑))が結構あります。このふたつの点をご説明しますと...。

第一点目は、取り込みについて。
HDVは、MPEGストリームです(HDV 1080iは、MPEG2-PES (Packetized Elementary Stream)、HDV720pはMPEG2-TS)。DV(SD)のDVストリームならばQuickTimeキャプチャーが対応しているので、Final Cut ProでもiMovieでもDV取り込みできることはご存じの通りです。ですが、現状のQuickTimeキャプチャー機能では、MPEGストリーム
に対応していないので、現時点で、Final Cut Proから直接HDVをキャプチャーすることが出来ません。ここが、今回のデモのまやかしの第1点目。

第二点目は、編集について。
現状のFinal Cut Proでは、MPEG素材を編集することは出来ません。
正確に言うと、MPEGを素材にすることはできなくはありません。ですが、MPEG-PSの場合ビデオデータしか使えない(オーディオが使えない)とか、編集しようとすると、描画(RTなんてもってのほか)やレンダリングなどに時間が掛かるとか、実際上使い物になりません。
そんな理由で、このデモでは、直接MPEGファイルを素材にして編集しているのではありません。あらかじめMPEGデータをQuickTimeムービーに変換しといて、そのQuickTimeムービーを素材にしている、ようなのです。ここが、まやかしの2点目です。

将来に関しては。

第一点目の取り込みに関しては、ジョーク記事2004.04.01 スクープ!! 次期バージョンのFinal Cut Pro で書いた内容のうち、FireWire MPEG関連の記載はホントです。だから、次期Final Cut Pro+QuickTimeの環境では、MPEG-TSストリーム取り込みが可能になること、間違いありません(今日の時点では、まだ達成できていない、というだけのこと)。

第二点目のMPEG素材の編集に関しては、正攻法でせめると、ちょっとやそっとじゃ解決できることではなさそうで、マシンパワーの向上を待たなくてはならないでしょう。
そこで、現実的な方策としては、「オフライン編集」の応用をすることになるんじゃないかな?。具体的には、

(1) HDVのMPEG-TSストリームを取り込む。

(2) 別Codecを使ったQuickTimeムービーに変換する。

この際の候補(Trans Codec)は、

HDサイズのままにこだわるなら、Pixlet Codec。ただし、Pixletは圧縮処理がかなり重いので、「(1)取り込み」ステップ中にリアルタイム処理、というのは不可能でしょう。ですから、一旦HDD内にMPEGファイルを作り、取り込み終了後ポストコンプレス処理、となるでしょう。

HDサイズにこだわらず、編集時のハンドリングの軽快さを重視するなら、ハーフやクォータサイズにまでフレームサイズを落としてのPhoto-JPEG。これは、Final Cut ProでいうOff-lineってやつ、そのものですね。Photo-JPEGならば、「(1)取り込み」ステップにリアルタイム変換も可能かも。

(3) Trans Codecを使ったQuickTimeムービーを使って編集する。その際、RTはいうまでもない。

(4) 最終レンダリング

HDD内のオリジナルのMPEGファイルを使用して、「(3)編集」の指示通りのエフェクトを適用し、レンダリングする。ただし、処理は非常に重い。

といったかんじでしょうか。

なお、Premiere ProのHDV対応は、この案に近く、

一旦HDD内にMPEGファイルを作り、取り込み終了後に、Codecを変え、且つフレームサイズを落としてのポストコンプレス処理、そうして作ったAVIファイル(←プロキシファイルと命名)を使って、編集する。最終レンダリングは、元のMPEGファイルを使用して実行。

となる模様です。

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