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2002.02.18改訂 |
QuickTime 6の発表とともに、クローズアップされたMPEG-4について、簡単に解説します。
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MPEG-4について |
なお、この記事の前半部分は、書籍版Mac de DTV(2000年1月発行)のコラム( 58ページ)に記載した内容です。本の内容からすると唐突に58ページに「MPEG-4」のコラムが入っているわけは、章の区切りの関係で、1ページ余っちゃったからです。脱稿直前に「もう1ページ書いてください」とのリクエストで、へろへろになりながら1時間くらいで書き上げちゃったのを覚えております(笑)。
次世代の動画音声圧縮規格であるMPEG-4は、広範囲の用途を想定したマルチメディアデータの符号化規格です。はじめは、通信速度の遅い回線で動画を発信する規格として出発しましたが、今では64kbsp〜38.4Mbpsをカバーする符号化技術となっています。MPEG-4は、さまざまな用途に対応可能であること、オブジェクト化された符号方式であることが特徴です。
さまざまな用途に対応可能
64kbsp〜38.4MbpsをカバーするMPEG-4では、符号化方式や通信技術などの要素がプロファイルというグループに分類されています。例えば、自然画用途のプロファイル、合成画像のプロファイル、自然画でも低速回線用のプロファイル、音声でも、スピーチプロファイルやMIDIを利用したプロファイル、などといった具合に、さまざまな想定用途に応じた要素技術(ツールセット)が各プロファイルという形でまとめられているのです。
主なプロファイル
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こういう意味で、Windows製品のなかにはMPEG-4対応をうたうものも発売されていますが、この場合、ある特定のプロファイルに対応した、という意味です。
MPEG-1ではVideoCD、MPEG-2ではDVDビデオ、というように代表的な用途が明確でしたが、さまざまな用途に使用できるというMPEG-4の特徴が、かえってMPEG-4を全体像が掴みにくいものとしているようです。
オブジェクト化された符号方式
データは、各オブジェクトごとに最適な方法で符号化されます。
オブジェクトとは、映像オブジェクト、音声オブジェクト、文字列オブジェクト、CGオブジェクト、3Dオブジェクトなどさまざまな種類があり、再生時にすべてのオブジェクトをリアルタイムに合成して再生します。このように、オブジェクトごとに最適な符号化を行うため、全体の圧縮率が高まります。つまり、MPEG-4に採用している要素技術自体は既存の技術の延長なのですが、オブジェクトごとに最適な符号化技術を使用するため「全体として」の圧縮率と画質を向上しているのです。
また、オブジェクト化されているので、ユーザ操作に応じてオブジェクトを動かすといったインタラクティブ性も確保されています。
QuickTimeとの関係
さて、ここまでお読みになって、QuickTimeそっくりだなあ、とお感じになりませんでしたか。そうです、MPEG-4のファイルフォーマットは、QuickTimeムービーのファイル構造がベースになっているのです。QuickTimeのトラックに相当するものは、Atom、と呼ばれています。また、Atomの生データ自体はどこにおいてあってもよい(Web上でもHDD上でも可)といった点も、トラックとそっくりです。オブジェクト化された符号化についても、QuickTimeと同じ発想です。
このように、もちろん、MPEG-4はQuickTimeそのものではありません。しかし、思想とファイルフォーマットはQuickTimeと非常に近いものであることはお判りになったと思います。MPEG-4のVer2.0は2000年の春頃最終仕様が確定する予定ですが、近い内にQuickTimeがMPEG-4機能を内蔵するようになることは間違いないところでしょう。
そして、QuickTime 6
ここまでの内容が、書籍版Mac de DTV(2000年1月発行)のコラム( 58ページ)に記載した内容ですが、それから、2年。ようやく、QuickTime 6でMPEG-4対応が見えてきました。
その間、Windowsでは、MPEG-4対応を宣伝していたにもかかわらず(実体はMicrosoft独自フォーマット(*.asp)なのですが(笑))、Appleからは余りアナウンスがありませんでした。
でも、その間、「インターネットプロトコル(IP) でリッチメディアをストリーミング配信するためのオープン標準を市場に浸透させる」ことを目標にCisco Systems、Kasenna、Philips、Sun MicrosystemsなどとでISMAを設立( 2000.12.12 Appleなど大手数社がストリーミングメディアの標準化に向け提携参照)したり、Appleも標準化のための努力をしてきたわけですね。
なお、今回のQuickTime 6のMPEG-4は、
あくまでも「MPEG-4 over IP」、要は、インターネットストリーミングだけへの対応です。さまざまな用途に使用できるというMPEG-4の特徴についてはすでにご説明しましたが、QuickTime
6ならば、MPEG-4ならなんでも(例えばデジカメの動画機能のMPEG-4にも)対応したわけでは決してありません。ここは誤解のないように。
また、インターネットストリーミングのうちでも、ビデオCodec、オーディオCodec対応だけのようですね。ビデオ、オーディオ以外のオブジェクト(QuickTimeでいうトラック)については未だ不明であり、ですから、MPEG-4ストリーミングにインタラクティブ性があるのかないのかさえ、現時点では判りません。
ともかく、MPEG-4の普及には一歩前進ですね。次の課題は、MPEG-4のライセンス問題*で、これの解決が図られ次第、QuickTime 6公開、となるのでしょう。
*MPEG-4のライセンス問題
Appleとしては、「1エンコーダ、デコーダにつき25セントというライセンス料の支払いには同意しているが、 MPEG-4配信者に対し1ストリームにつき2セントの支払いを求めることには同意できない」とのことです。確かに、ストーリミングが商売になるかならないか今が過渡期な訳ですし、成長・発展にブレーキが掛かってしまうことは間違いないですしねえ。また、現実に、1ストリーム当たりでfeeを払う、という「集金システム」が実現できるとも思えません(笑)。Appleには、ぜひともがんばってもらいたいことだし、発表では「みなさんからも要望して欲しい」との呼びかけもしています。ぜひ、解決してほしいものです。
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