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2002.07.26 「Premiere 6.5の内部について」について

ZDNet Mac:NEWS 2002年7月23日[Adobe Premiere 6.5の内部について]という記事が出ていますので、これを見てゆきましょう(つっこみを入れてゆきましょう(笑))。以下、イタリック体部分がこの記事からの引用です。

しかし、MacにすでにiMovieが付属している現在、Macintosh市場に Premiereの居場所がまだあるだろうか? Adobeは、確かにあると思って いる。AdobeはiMovieのようなコンシューマアプリケーションとFinal Cut Proのようなプロ向けアプリケーションの中間にPremiereを位置付けてい るとBowman氏は説明した。前回バージョンと同じおよそ550ドルという Premiereの価格がこれを反映している。

初めてじゃないですかねえ、iMovieとFinal Cut Proの間にPremiereを位置づける、とAdobe自らが言うのは。既ユーザから見ると、実感として、(販売価格を除いて(笑))機能的にはPremiereはFinal Cut ProとiMovieの中間(ややFinal Cut Pro寄り)、と思って来ましたからねえ。とはいえ、このことがAdobe側から表明された、というのは、ニュースではあります。

できれば、Final Cut ProとiMovieの中間(ややiMovie寄り)に位置する「Premiere LE(またはPremiere Element)」もMac用にもラインアップしてくれるとうれしいのですが(Premiere LEは現在Win版のみ)。でも、投資としては大きすぎるかな。


Bowman氏は、Premiere 6.5で最大の変更点はリアルタイムソフトウェ アエフェクトのサポートだと述べた。「Premiereで行うことは何でも、 今度からリアルタイムでプレビューできる」とBowman氏は述べた。 「タイトリング、クロマキーイング、サードパーティのエフェクトさえ そうだ」。Bowman氏の説明によれば、Premiereはスペシャルエフェクトに対応できるように、再生中にフレームレートを即座にダイナミックに調整するという。適切な再生を維持できるように、必要に応じてPremiereは画質をドラフトモードに落とす。「同期を保ったままでこれを行うので、ワークフローはなめらかで一貫したままだ」と彼は述べた。

注目のリアルタイム機能ですが、実際にはどの程度のものなんですかね。

面白いのは、必要に応じてPremiereは画質をドラフトモードに落とす、という点。cinestreamのDraftDV機能をリアルタイムでやってしまう感じですかねえ。
わたしの独断予想では、本格的RTプレビューではなく、現行Premiereの「RAMプレビューの改良版」のようなものじゃないかな。というのも、

驚くべきことに、Premiereのハードウェアシステム要件は、そんなに厳しくない。ソフトウェアはPower Mac G3で起動する。しかしBowman氏は多くのRAMを搭載したG4がより良い全体的なユーザーイクスピリアンスを提供すると述べた。

とのことですので。それにそもそも、+0.5のマイナーバージョンアップにしか過ぎないわけで、とうてい本格的なものとは思えない、という理由もあります。改良RAMプレビュー機能をマーケッティング的には「リアルタイム」と呼んでいるのではないか、と。

Adobeの資料(pdf)によると外部ビデオモニタにも出力可能(both on your desktop monitor and on external video screens)、とありますが、FireWire出力も可能なのかな??、だといいなあ。でも、外部出力とドラフト品位の関係がどうなるのか??

さてさて、果たして。良い方に期待を裏切ってくれることを祈ります。


ソフトウェアは、Adobe Title Designerと呼ばれる新しいタイトリング機能も特徴とする。

これについては、期待させて頂きましょう。


統合が鍵をにぎる
Adobeは、Apple自身のデジタルビデオ能力との統合がPremiere成功の鍵をにぎると認識している。Premiere 6.5がAppleのコンシューマレベルのDVDオーサリングソフトであるiDVDとプロレベルのDVDマスタリングソリューションであるDVD Studio Proの両方に統合できるのはそのためだ。iDVDで使用するように、コンテンツをDVフォーマットで保存できる。そして、DVD Studio Proをインストールすれば、Premiereタイムラインから直接MPEG2フォーマットでDVDを作成できる。タイムラインマーカーデータ をエクスポートできるので、DVD Studio ProでChapterポイントや1フレームデータを使うことができる。

よくわからないのが、ここです。統合(原文ではIntegration with iDVD and DVD Studio Pro)、ってなんのことをいっているの。

まず、iDVDで使用するように、コンテンツをDVフォーマットで保存できる。ってのは、現行Premiere 6.0.xでも既にできます。Premiere 5.xでも 4.xでもできるんじゃないかな。だって、QuickTime Exportの機能を利用しているだけだから。それにそもそも、iDVDは、「DV Codecを利用したQuickTimeムービー」だけでなく、他のCodecを利用したQuickTimeムービーだって、利用できるんですから。

DVD Studio Proをインストールすれば、Premiereタイムラインから直接MPEG2フォーマットでDVDを作成できる。てのは...。QuickTime Exportの機能を利用してMPEG2出力を行う訳ですね。ただし、標準のQuickTimeにはMPEG2出力機能は搭載されておらず、DVD Studio Proに付属するQuickTime MPEG Encoderが必要となります。QuickTime MPEG EncoderはQuickTimeのコンポーネントとして機能するので、一旦DVD Studio Proをインストールすると、QuickTime Exportに対応したアプリケーションなら(それこそ、QuickTime Player Proですら)MPEG2出力が可能になる、

柔軟な設計になっているのですが、ところがPremiereって、素直にQuickTime Exportを利用してないんですねえ(利用してくれてたら、QuickTime自体が搭載する参照ムービー機能もPremiereでも利用できるのに...)。ということなので、おそらく、Exportプラグインを用意するのだろうと思います。でも、実際にMPEG2エンコードを行うのは、Apple製のQuickTime MPEG Encoder......。

ですので、iDVDやDVD Studio Proとの統合、っていわれてもよく判らないです。いってみれば、QuickTimeやiDVDが偉い(笑)のです。

一点、Premiere 6.5の新機能といえば、タイムラインマーカーデータ をエクスポートできるので、DVD Studio ProでChapterポイントや1フレームデータを使うことができる。という点。つまり、QuickTime 5.0.5(→2002.02.05 QuickTime 5.0.5日本語版)の「マーカ付きムービー」の出力に対応したんですね。

もっともよく判らないのが、次の点。

それだけではない。AdobeのMPEG Encoderで、MPEG1ファイルもエクスポートできるので、コンテンツをVideoCD、SVCDやウェブに配信できるようになる。また、DVやアナログテープに出力することもできる (Macがこのようなデバイスとインタフェース可能な場合) 。

Adobeの資料(pdf)によると、Adobe MPEG Encoder (Windows only)と記述されているのですが(たぶん、記者の誤認ですね)。

こうしてみると、Premiere 6.5 Mac版自体には、MPEG出力やDVD-Video作成機能って、ほとんどなにもないことがわかります。


小技が利いていていいなあ、という点に、

Premiere 6.5の新しい「Edit Original」コマンドで、ユーザーは自分のビットマップイメージ、ベクタグラフィックやモーションエフェクトを Photoshop、IllustratorやAfter Effectsで編集でき、変更を保存するとき、Premiereでアップデートされたコ ンテンツを見ることもできるとBowman氏は説明した。

現行Premiere 6.0.xの場合、[Edit Original](オリジナルを編集...)コマンドを実行し、

Photoshopなどで再編集した後、Premiereに戻ってくると、自動的に変更点が反映されるわけではありません。手動で、Premiereでプロジェクトを読み込み直すか、[プロジェクト]の[クリップを置き換え...]を実行しなければ、タイムラインに変更点が反映されない、という中途半端な仕様になっています。

Final Cut Pro+FireWorksでは、自動的にFinal Cut Pro上で反映されます。(→MacDTV.com 字幕道場FireWorkをご覧下さい)。

ここの改良は、非常に使い勝手を向上させるでしょうね。楽しみです。


そして、このインタビュー記事の最後の締めの言葉

「この発表でAdobeがMacのデジタルビデオ市場に専念していることがはっきりすることを望む」とBowman氏は述べた。

MacなDTVユーザとしても、そう願います(笑)。まあ、とにかく早く実物を見てみたいなあ。

   

   

   

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