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NAB2000での衝撃の発表 |
2000.11.05改訂 |
RT Macは、2000年4月の全米放送機器展(NAB2000)で、Apple、Matroxの両社により発表されました。ここでは、Matrox社製のWindows版RT2000を概観することで、来たるべきRT Macについて予習しておきましょう。
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RT Mac with Final Cut Pro |
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NAB2000での衝撃の発表 |
2000年4月9日、全米放送機器展(NAB2000)における、Apple Computer社、Matrox社、Pinnacle Systems社による衝撃の発表がなされました。概要は次の通りです。
●Apple、FinalCutPro1.2.5を発表
●Pinnacle、SD/HD無圧縮ビデオボードTARGA Cineを発表
●AppleによるAstarteのDVDプロダクトを取得。
●Matrox、DVリアルタイムレンダリングPCIカードRTMacを発表。
このうち、今回の発表のなかでもひときわ興味を引く、Mac初リアルタイムシステムRT Macについて、ここでは詳しく見てみましょう。といっても、RT Macなるものの素性がはっきりしない今日の時点(2000.04)では、例によってWinでのDTVからの類推で占ってみましょう。
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Matrox RT2000
WinでのDTVで話題となっているふたつの低価格リアルタイムカード。MatroxといえばRT2000、Pinnacle SystemsといえばDV500、ですね。いずれも、20万円以下の「デュアルストリームノンリニアシステム」として、今Winでは話題になっております。
DV500:\178,000- RT2000:\198,000- 今回発表のRTMacが、RT2000のMac版なら(価格的にそのように予想されます)、基本性能は、RTMacとRT2000では同じ程度のはずです。
そこで、まずはWinでの実状分析からRT Macを予想してみましょう。さらに、せっかくWinでの実状分析をするのですから、今後に期待を込めて、PinnacleのDV500についてもまとめましょう。Winでは両者はよきライバルなのですから。
ということで、以下の記事は、RTMac最終版とは違っていることも大いにあり得ますので、そこのところはあらかじめご了承ください。
ポイントは、
- デュアルストリーム:同時に2チャンネルの映像を入力・再生可能
- リアルタイムエフェクト
の2点となっています。
デュアルストリームとは、同時に2チャンネルの映像を入力・再生を行うことです。
DV500:
DV入力のデュアルストリーム取り込みが可能です。
アナログ取り込みものデュアルストリーム取り込み可能ですが、CodecはDVになります。つまり、DV500の場合、取り込んだムービーは、すべてDV形式となっています。
RT2000:
DV入力のデュアルストリーム取り込みが可能です。
アナログ取り込みものデュアルストリーム取り込み可能ですが、Codecは、DVとMPEG2とのどちらかを選べます。
カード上のFireWire端子から入力したDV信号をMPEG2にリアルタイム変換することはできないようです。つまり、一旦HDD上にDVファイルを取り込み、これをMPEG変換することになるようです。
カード上のアナログ端子から入力したアナログ信号は、リアルタイムにMPEG2ファイルになります。このMPEG2ファイルがそのままDVD Videoに使用できるかは、どうもわかりません。
なお、今回のRTMacがMPEG対応しているか、記載がありません。しかし、RT MacでMPEG機能をわざわざ外すことは、プロシューマをターゲットとしたAppleのPowerMacプロダクトでは考えにくいですね。さらに、今回AppleがAstarteのDVD プロダクト開発部門を買収・取得したことを考えあわせると、ここら辺の整合性がとられていないとは、ちょっと考えたくないですね。
ということで、PowerMacをDVDオーサリングシステムとしてアッピールする、という戦略がもっとも望ましいシナリオなのですが、はてさて。
2000.11.05追記 RT Macに関して、このデュアルストリーム対応やMPEG対応について、なんの情報も持っていません。どうなっているのでしょ。
効果シーンの処理速度向上、これがなんといっても興味のあるところでしょう。
始めにいっておくと、RT2000にしても、DV500にしても
- アナログ出力の場合、リアルタイム出力(リアルタイムにレンダリングしながらのアナログ出力)は可能
ですが、
- DVの場合、リアルタイム可能なのはプレビューのみ、
なのです。
これは、どういうことかというと、DVの場合には、プレビューは確かにリアルタイムにプレビューレンダリングをこなすことができますが、DV出力前にはレンダリングしなければいけない、ということです。
アナログの場合、DV伸長して特殊効果処理演算を行ったらそれをアナログ出力すればよいのですが、
DVの場合、DV伸長して特殊効果処理演算を行ったのち、それをさらにDV再圧縮しなくてはならないのですから、アナログよりもヘビーな処理ですよね。
残念ながら、リアルタイムなDV出力にまでは至っていない、これが現状です。
リアルタイムはプレビューだけ、とはいっても、プレビューが速いと言うことは、編集作業時の試行錯誤の回数を増やせることを意味しますから、DTVの作業性の大幅な向上が期待されます。
DV500:
2チャンネルビデオ+1トランジッション
または、
1チャンネルビデオ+1タイトル(または1フィルタ)+1トランジション
RT2000:
2チャンネルビデオ+1トランジッション+1タイトル(または1フィルタ)
注)いずれの製品も、静止画は、テロップ入れなどのスーパーインポーズなどに使用。
といったところで、RT2000の方が若干優れています。
なお、今回発表のRTMacが現行RT2000のMac版である、と仮定して書いてきました。しかしながら、発売は今年の秋ですから、状況は進んでいるかもしれません。
そもそもRT2000の後継機ベースの製品かもしれないし。
Macの側についても、Velocity Engine対応次第でしょうし、PowerMac G4もマルチプロセッサマシンになっていたり。こういったことを考えると、最低限でもこの程度は達成できる、これ以上になるはず、と楽観的に判断しておけばよいと思います。
たとえば、Canopus社のDV Rex RTのように、
DV出力時もリアルタイム可能、10トラックまでのリアルタイムエフェクトが可能、そのためにPemtium IIIのマルチプロセッサマシンを使用
といったことを考えると、RTMacがこれに肉薄するものになる、ということも考えられなくもないですね。ただ、価格的に考えると、DV Rex RTほどになるはずはないとも思うのですが、淡い期待で...(笑)。
これらのカードの能力を引き出すには、対応編集ソフトが必要です。
いうまでもなく、Final Cut Proがそれなのですが、Final Cut Proでも通常のエフェクトを使った場合には、リアルタイムにはなりません。リアルタイム処理用に対応した効果しか、その恩恵を受けられないのです。
では、他のソフトではどうなるのでしょうか。
Premiereの場合、Winではこれらのカード専用のPremiere RTバージョン(Real Time Version)がバンドルされてきます。カード自体のドライバは、Final Cut Pro用としてすでに用意されているわけですから、Adobeの努力により、Mac版Premiere RTについても比較的容易に対応できるものと思います(技術的ノウハウはすでに持っているはず)。あとは、やる気の問題ですが、これが一番の問題かも(笑)。
他のソフトの場合、ノウハウという意味では、Adobeには劣るものと思われます。
でも、もし、AppleがQuickTime Effects*)をRT対応にしてくれたなら、
*)QuickTime Effects : QuickTimeに組み込まれているエフェクト機能。
通常、DTV編集ソフトはそれぞれのソフトごとにエフェクト処理エンジンを備えています。だからこそ差別化できるわけですが、一方で、無駄といえば無駄です。そこで、QuickTimeの機能としてエフェクトを提供しよう、それが、QuickTime Effectsです。どの編集ソフトでも、QuickTime Effectsを使う分には、リアルタイム機能を享受できるようになるのですが。これが、もっとも望ましいシナリオですが、さて実際のところはどうでしょう??。
これは、一度使ってみるとわかりますが、プレビュー待ちがないのは、便利の一言です。
でも、休みなしに編集するのは、なんだかつらくなってきますね。プレビュー待ちというのも、良い気分転換です(笑)。わたしなんかは、プレビューレンダリング待ちに、別のMacで別の作業(CGを作ったり、Webサイトや原稿を書いたり)をしてますから、実作業上はあんまりありがたくないかも(笑)、と思ったりします。
もちろん、時間に追われたプロの方にとっては、待望のものなのでしょうね。
最終レンダリングの高速化もすばらしいですが、一方で、このシステムは、DVなりアナログなり、Tape出力を最終目的にしていることに注意してください。すなわち、CD-RやWebで使用するムービー作成のためのレンダリングには貢献しない、ということです。
でも、リアルタイムが必要な方は、たぶん、すでにWinに移行しているんじゃないかなあ、正直なところ(笑)。
私自身は、Mac DTVのアドバンテージは、マシンやレンダリングの速さでなく、DTV作業全体を見通した上での作業効率の高さ、自由度の高さ、にあると思っています。ですから、以前から「Macにはリアルタイムシステムがないから」という意見には与しません(でした)。
Macでもリアルタイムエフェクトが安価に享受できるようになったことはすばらしいことです。しかし、このように、最終目的であるとか、自分の作業の進め方などを思い返してみて、リアルタイムシステムの必要性を判断してみてください。
え、わたし、必要性はあまりないけど、たぶんRT Macを買ってしまうと思います(笑)、例によって(笑)。
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