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Pixletの研究 |
2003.11.15初稿
2004.01.18改訂 |
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Pantherから搭載されたPixlet(ピクスレット)コーデック。ピクサー社との共同開発なので、フィルムやHDTV(高精細TV)といった業務用ビデオ編集のための圧縮技術、とされています。
では、一般ユーザにとってはPixletはどんな風に使えばよいのでしょうか。ここでは、空間/時間圧縮、圧縮アルゴリズム、ターゲットという3つのキーワードにふれながら、PixletやDV、MPEGなどのコーデックはどういう用途に向いているかを解説してゆきます。
画像サンプルはこちら。(いずれも、500倍に拡大したGIF画像を掲載)
空間圧縮と時間圧縮
空間圧縮とは、そのフレーム内のみで圧縮処理を行うやりかたのことで、DVやMotion-JPEGがその一例です。空間圧縮は、要は静止画におけるJPEGと同様の処理なので、画質劣化を避けたい場合にはさほど圧縮率を上げることはできず、せいぜい数倍程度といったところでしょう。
一方、時間圧縮は、フレーム間の相関を利用して圧縮率を稼ぐやり方で、MPEG-1、-2、-4、DivXなどが代表例です。時間圧縮では、空間圧縮に比べて大幅に圧縮率を高めることが出来ることが最大の利点ですが、反面、編集がやりにくい欠点があります。
だから、iMovieとiDVDで行うDVDビデオ作成作業も、iMovieでの編集作業には「編集しやすいDV」を素材にして行い、最終的にすべての編集処理を行ったらiDVDで「編集に不向きだが高圧縮なMPEG-2」にする、という作業のやりかたをしているわけです。
こういった意味からは、空間圧縮を採用しているPixletは、「最終作品」よりも「編集」に向いたコーデックといえます。
また、16bit RGBというハイスペックも、編集段階においてこそ、活きます。
圧縮アルゴリズム
DV、Motion-JPEGにしても、MPEGにしても、圧縮処理の最小単位は8×8の格子(DCTブロック)。これが、MPEG画像でおなじみの「ブロック状のノイズ」発生の根本原因なのです。
この画像は、MPEG系コーデックで人気のDivXで圧縮した画像(500%に拡大)ですが、8×8の格子がはっきりと見えます。
DivX (Bitrate 780kbps)
ところが、Pixletでは、Wavelet(ウェーブレット)という画像解析技術を利用するため、原理的にブロック状ノイズは起こり得ません。Waveletは、DCTブロック単位ではなく、画像全面を圧縮対象として処理するからです。
よくみると、水平方向にも垂直方向にも「同心円状」に色にじみが生じていることがわかります。
Pixlet (品質0%)で圧縮
この特徴を考慮して、MPEG系で発生するブロック状ノイズの発生がいやだったら、Pixletを使ってみましょう。
ターゲット
DVやMPEG-2がフルサイズ(720×480)、MPEG-1はハーフサイズ、MPEG-4やDivXがハーフサイズかそれ以下が主なターゲットといえますが、では、Pixletはどうなのでしょう。
Pixletは(基本的にサイズを選ばないが)フルサイズ以上の大画面ムービーにこそ向いています。例えば、BS/CSデジタル放送や地上波デジタル放送は、1280×720や1920×1080という画面サイズの、いわゆるHDTV(High Definition(高精細)TV)です。
現状ではHDムービーをハードウェアの追加投資なしにCPUのみでリアルタイム再生できる唯一の方策がPixletなのです。だからこそ、Pixletは、こういったHDサイズのムービーにこそ向いています。
こういった特徴を考えると、現状では、やはり、Pixletのユーザ層は映画・HDTV向けのハイエンドビデオ制作者・編集者ということになるのでしょう。
しかし、HDVカメラ(HDサイズのビデオをDVテープに撮影できる家庭用DVカメラ)もすでに登場しているので、我々MacでDTVなユーザにとっても、家庭でのHDビデオ編集が可能になる日も案外近いかもしれません。その頃にはPixletは有力な武器になっていることでしょう。
例えば、HDVソースを取り込んだ後、Mac上でPixletに変換して、DTV編集し、最終的にHDVに再変換する、といったワークフローかも。
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