[基本編] FireWire, IEEE1394、iLINK端子、DV端子
新世代の高速インターフェースとして注目され、PowerMacintosh
G3 Blue&White以降の機種では標準搭載された、FireWire(IEEE1394)。ここでは、DVとFireWireとIEEE1394に関する話題をご紹介します。
DVカメラやHDVカメラから取り込みする際には、DVカメラやHDVカメラの「iLINK端子」と、Macの「FireWire」端子とを接続します。この際、iLINKやらDV端子やら、FireWireやらFire800やら、さまざまな用語が出てきます。これらの言葉を解説します。
iLINK端子、DV端子 - ビデオカメラ側の呼び方
DVカメラやHDVカメラには、デジタル入出力端子として、iLINK端子が搭載されています。
DVカメラに搭載されているiLINK端子を、一般にDV端子とも呼びます。DVカメラのiLINK端子から入出力される信号が、DVストリームと呼ばれるからです。それ故、iLINK(DV)などとも表記されます。
一方、HDVカメラに搭載されているiLINK端子を、俗称でHDV端子などと呼ぶこともあります。iLINK(TS)と表記されることも多いようです。HDVカメラのiLINK端子から入出力されるHDビデオ信号が、MPEG2-TSフォーマットだからです。
HDV端子もDV端子も物理的形状は同一です。どちらも、iLINK端子なのですから。
HDVカメラには、テープ上に収録されたHDVデータをDV変換して出力する「HDV→DV変換」機能を搭載している機種もあります。これらの機種の場合、HDVデータをそのまま出力する場合、HDVカメラのiLINK端子からは、MPEG2-TS信号(HDV)が出力されます。「HDV→DV変換」機能を使用するときには、iLINK端子からは、DVストリーム信号が出力されます。
このように、iLINK端子という形状の端子を、DVとして使うときはDV端子と呼び、HDVとして使うときはHDV端子やiLINK(TS)端子と呼ぶ、といった具合です。
FireWire、Fire800、IEEE1394 - MacやPC側の呼び方
話しは変わって、Mac(やPC)の世界では。
ほとんどのMacには、FireWire端子、もしくは、Fire800端子が搭載されています。FireWireやFire800という呼び方は、Appleの呼称で、PCの世界では、正式な規格名であるIEEE1394a、IEEE1394bと呼ばれています。
FireWireとIEEE1394aは同じものを指します。呼び方が異なるだけで、端子の形状も転送速度も流れる信号形式も全く同じものです。同様に、Fire800とIEEE1394bも全く同じものです。
FireWireとFire800の違い
FireWireとFire800の違い、すなわち、IEEE1394aとIEEE1394bとの違いは、転送速度や、端子の物理形状です。
転送速度の規格上限も、FireWireでは400Mbps、Fire800ではその倍の800Mbpsです。
FireWire端子は6ピン、Fire800端子は9ピンで、形状には全く互換性がありません。
上段が、FireWire端子(IEEE1394a 6ピン メス)、
下段が、9ピンのFire800端子(IEEE1394b 9ピン メス)
Fire800は、FireWireの後継規格で、以下のような互換性があります。
端子形状の違いは、変換アダプタや、変換ケーブルで
FireWireとFire800とでは、端子の形状が異なりますが、変換アダプタや変換ケーブルを使用することで、接続可能です。FireWire-Fire800変換アダプタ・ケーブルとか、IEEE1394 6ピン-4ピン変換アダプタ・ケーブルなどの呼称で発売されています。
FireWire端子を持つMacに、Fire800機器を接続すると
MacのFireWire端子に、Fire800の機器を接続することもできます。例えば、外付けFire800 HDD等を。その時の転送速度は400Mbpsです。
Fire800端子を持つMacに、FireWire機器を接続すると
その逆のケース、MacのFire800端子にFireWire機器も接続することができます。例えば、外付けFireWire HDDなど接続した場合の転送速度も400Mbpsです。
なお、ひとつのFire800端子に、FireWire機器とFire800機器とを混在させた場合、本来800MbpsのはずのFire800機器も、転送速度は400Mbpsに抑えられてしまいます。後に説明するとおり、DVカメラやHDVカメラも、FireWire機器の一種です。ですから、Mac上の同一のFire800端子に、DV/HDVカメラとFire800 HDDとを混在させたときは、Fire800 HDDも400Mbpsで動作します。
DV/HDV取り込みでは、必要なデータ転送速度は25Mbpsです。だから、本来800MbpsのはずのFire800 HDDが、400Mbpsに制限されたとしても、DV/HDVデータを取り込むのには充分な速度は確保できています。ご安心を。もちろん、取り込みが終わりDV/HDVカメラをはずしたら、編集時は本来の800MbpsでFire800 HDDにアクセスできます。
iLINKとFireWireの関係
iLINKとFireWireの関係は、ひとことでいえば、iLINKはFireWireのサブセットである、ということです。つまり、FireWireを一部の特定用途(=AV用途)に活用したものがiLINK、と考えればよいです。
両者の違いは以下の2点です。
端子の形状
FireWire端子は、6ピンです。このうち、2線が電源線となっています。
iLINK端子は、この電源線を省いた、4線で構成されています。FireWire端子でも、iLINK端子でも信号の流し方自体はおんなじなのですが、両者の端子の形状は物理的に違っています。
左がFireWire端子。右がiLINK端子(DV端子)。
DVカメラやHDVカメラから取り込みする際には、DVカメラやHDVカメラのiLINK端子と、MacのFireWire端子とを接続しますが、両端子の形状は異なっているため、変換ケーブルが必要です。
一部のMacには、このケーブルが付属していますが、そうでない場合は、「DVケーブル(6ピン-4ピン」)とか、「IEEE1394ケーブル(6ピン-4ピン)」といった名称で、Mac/PCの周辺機器売り場で、あるいは家電量販店のビデオカメラアクセサリコーナーで入手できます。
Fire800端子とiLINK端子とを接続する場合は、「IEEE1394ケーブル(9ピン-4ピン)」といったケーブルが必要です。このケーブルは、一般的ではないので、Mac専門店か、相当大手の家電量販店でないと見つからないかもしれません。もちろん、ネットで通販すればよいのですが。
ストリームとプロトコール
ストリームとプロトコールは、どちらも「FireWireの使い方」と関係します。FireWireは様々な用途に活用できる汎用規格ですが、
例えば、DVの場合、 DVストリームというやりかたでデータを転送し、AVCプロトコールという方式でDV機器を制御します。iMovieからDVカメラをリモートコントロール(再生・早送り・巻き戻り等)する際にAVCを使っています。
同様に、HDVの場合、MPEG2-TSでデータ転送しています。
その他のプロトコールとしては、、外付けFireWire
HDDなど(で利用されるプロトコールであるSBP2)もすっかりおなじみですね。オーディオプロトコール(mLAN)も策定が終わっていますし、FireWireを利用したLANのための1394
over IPも実用化されていますし、
このように、DV端子はFireWireの一部を利用している、といえます。すなわち、DV端子はFireWireのサブセットである、というのはこういう意味です。
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