miroVIDEO DV300
 

MACLIFE誌98年6月号197ページMACWARE Collectionに掲載された記事の元原稿です。           (佐藤やすし)

なお,本ページの意図は,当製品の宣伝にあるのではなく(笑),
あまたあるDVカード製品の選択にあたって参考にして頂きたい,ということです。

もちろん,松下インターテクノさんから,一銭も頂いてません(笑)


アナログ編集カードのベストセラーDC-20,DC-30で有名なmiroブランド(注.1)からも,遂にDV編集システムの登場だ。IEEE1394端子とSCSI端子を1枚のカードに集約,Premiereプラグインの他,オリジナル編集ソフトDV ToolsをパッケージしたDV編集システムだ。


こんなひとに最適

DTVにおける一連の作業をスムーズに行なえるオリジナルソフトDV Toolsが他社製品に対するアドバンテージになっている。DVカメラ購入を機に,MacでDTVを始めてみようと考えている初心者にお薦めしたい。

もちろん,Premiereプラグインが付属しているため,Premiereでの編集作業に精通したDTV経験者とっても満足できる製品だ。

 本製品は,DV300 PCIカード,ドライバやDV Codec,Premiere用ファイル,DV Toolsアプリケーションからなる。

 DV300 PCIカードは,Adaptec社AHA-8945のOEMで,IEEE1394端子とSCSI端子が1枚のカード上に搭載されているため,PCIスロット間の競合がなく,安定かつ高速という特徴がある。

 Adaptec社OEM製品をコアに利用したDVシステムは他社からも発売されている(注.2)が,これらの製品と同様Premiere用プラグイン(取り込み,書き出し,Referencing Movie,SoftAccelなど)が付属しているため,DTV経験者にとっては使い慣れたPremiereの操作性のままDTV作業に没頭することが出来る。
特に「Referencing Movie」は「1ファイル2GBの壁」を越えることが出来,更にエフェクト処理時間とHDD容量を節約できるため,きわめて有用な機能だ。


 しかしDV300の最大の特徴は,DTV初心者にとっても優しい作りになっている点だ。Premiereを利用する形態の製品の場合,高機能すぎて初心者にとってはかえって取っつきにくい面があるが,DV300ではオリジナルアプリケーションDV Toolsを使うことで,

スキャン→キャプチャ→エディット→プリント

という一連のDTV作業をスムーズに進めることが出来る。

DV Toolsの操作感。StartWindowにある4つのボタン,「Scan」「Capture」「Edit」「Print to Tape」を順に押してゆくと,ひとつの作品が完成する。Media Windowによって素材管理も万全。もちろん,Crip Infoによって,きめ細かい制御も可能だ。

   

 スキャンとは,DVテープ上にどのようなシーンが録画されているか「ダイジェスト」を作る機能だ。また,Mediaウインドウを使えばスキャン後の素材の管理も万全だ。

Scanボタンを押すと,DV Tapeをスキャンし,Tapeにどんなシーンが録画されているか,ダイジェストを自動的に作成してくれる。Movieを取り込む訳ではなく,各シーンのTimeCode情報とIn/Outフレーム画のみを取り込むため,HDDの容量を消費しない。DTV経験者にとってもありがたい機能だ。

シーンの切り替わりの自動検出は,動き検知などではなく,DVテープ上のサブトラックに記録されている録画日時情報を元に判断している。

ダイジェストを見ながら採用するシーンを絞り込んだ後,キャプチャーを実行すると自動的に各シーンのMovieが順番にHDD上に録画されてゆく。

キャプチャーをするには,Scan Gallary上のクリップを,Capture Gallaryにドラッグアンドドロップし,Captureボタンを押すだけ,というお手軽さ。

キャプチャー自動実行中の画面。全自動で,複数のMovieを順番にHDD上に取り込むことが出来る。

   

 編集に関しては,DV Tools単体でもカット編集(アセンブル編集)が可能であるが,特殊効果をかけたいシーンがあれば,エディットボタンを押すと,任意のDTV編集ソフト(例えばPremiereなど)に連携するので,高度なエフェクトなども自由自在だ。

 DV Toolsが他社製品に対するアドバンテージになっている。DVカメラ購入を機に,MacでDTVを始めてみようと考えている初心者の方はもちろん,DTV経験者にもお薦めしたい。

Get Information

Specification

開発元●PINNACLE SYSTEMS社

問い合わせ先●松下インターテクノ(株)
03-3779-8682(マルチメディアホットライン)

URL●http://www.mitc.co.jp/multi/index.html

価格● 148,000円

対応機種●32bits PCI(2.1以降)を搭載したPowerMacintosh,MacOS互換機(PowerMacintosh 7600以上,または同等のMacOS互換機を推奨)

動作環境●MacOS7.6.1以降(MacOS8.0を推奨)

対応DVカメラ●動作状況に関する最新情報は,松下インターテクノのホームページまたはFAX情報サービス(03-3779-8693情報番号1394#)で提供中

IEEE1394:最大200Mbits/s。外部端子2,内部端子1

UltraWideSCSI:最大40MB/s(同期転送時)。外部1(ミニチュア68pin),内部1(68pin)

PCI:PCI2.1準拠

   

   

   

   

   

   


さて,ここから,わたしの感想ですが,

miroVIDEO DV300は,Adaptec系の製品であることから,なんらかの差別化の必要があります。差別のポイントが,DV Toolsだ,ということです。

DV Toolsの位置づけは,例えば,「写真をスキャナで取り込んで,加工し,年賀状にプリントする」といったケースにたとえると分かりやすいと思います。すなわち,

スキャンは,何枚もある写真のサムネールアルバムをMac上に自動的に作ってくれるような機能。

キャプチャーは,任意の写真をシートフィーダ付スキャナで,最終品位にまで自動的に取り込んでくれること。

エディットは,簡単な加工なら,このソフト単体で出来るが,もっと高度な作業がしたければ,Photoshopなどのソフトに持っていくこと。

プリントは,いうまでもなく,印刷のこと。

といった作業に相当します。

例えば,スキャナとプリンタにPhotoDelax(といった初心者向けの機能を絞り込んだ,それらしいユーザインターフェースのソフト)が付いてくる,ようなものです。

一方で,この手のソフトだと,良くも悪くも初心者向けで,物足りないと思うときも来るかもしれません。それは,ユーザによるでしょう。


コストパフォーマンスについて考えると,実売価格で,

fireMAX II

約9万円

miroVIDEO DV300

約12万円

Mac雑誌98年6月号の広告欄より

で,価格差 3〜4万円 といったところですが,3〜4万円は,

Premiere LE と DV Tools

分と考えて下さい。

ですから,Premiereをお持ちでない方にとっては,大変お得といえます。

一方,すでにPremiereをお持ちの方にとっては,DV Toolsで4万円というのは,(わたしは)高いと思います。

余談ながら,PremiereLEのLEとは,Limited Edition,すなわち機能限定版の意味です。

PremiereLEをお使いの方は,フルパッケージ版にアップグレードされることを,わたしはお奨めします。フル機能が使えるようになることはもちろんですが,充実したマニュアルが入手できる方が,有用です。

まあ,Premiere5.0Jへのアップグレードのチャンスがもうすぐあるでしょうから(詳細不明),この機会にいかがですか。


なお,

MACLIFEの評価記事のさいには,β版(1.03β)を試用しましたんで,バグが結構残っていたのですが,

現在発売中の1.1では,まともになったとのことです。(松下インターテクノさんの話し)

DVTools1.1 については,近日中にお借りして,確認テストする予定です。

  
 

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