Referencing Movie
 

  

この機能の意義を説明するには,

Premiere4.2での「ムービー作成」における

「QuickTimeムービー形式」と「QuickTimeコンポジット形式」の違い

QuickTimeによるシームレス再生機能

を説明しないわけにはいきません。そんなわけで,例によって,かなり長編になります。

  

「ムービー作成」について

まず,Premiereに限らないのですが,Movieにエフェクトを加える場合,最後にレンダリングする必要があります。レンダリングとは,

元Movieの伸長  エフェクト画像処理計算  再圧縮

からなる一連の工程です。

Premiereの場合,レンダリングのことを「ムービー作成」と呼んでいます。


「ムービー作成」では,下図に示すように,

「QuickTimeムービー形式」と

「QuickTimeコンポジット形式」

という,2つの形式を選択できます。

  

ここで,右図のようなエフェクトを施すことを考えましょう。


「QuickTimeムービー形式」の場合,

すべてのシーンをレンダリングします。このとき,すべてのシーンで,エフェクトをかけているわけではなく,部分については,元Movieとなんら変わりません。

部分については,元Movieの伸長→再圧縮を行いますので,画質は,当然圧縮劣化します。また,その分だけ,作業時間もムダになります。

ただし,DVレンダリング時の白クリップ問題では,これを逆手に取ることも解決策の一つです。   Mac DTV実験室「DVレンダリング時の白クリップ」問題を参照。

   

そこで,Premire4.2では,「QuickTimeコンポジット形式」が用意されています。

QuickTimeコンポジット形式だと部分については,元のMovieファイルから「コピー」してきます。元Movieの伸長→再圧縮をするわけではありません。

もちろん,エフェクト処理部については,

元Movieの伸長

エフェクト画像処理計算

再圧縮

を行います。

QuickTimeコンポジット形式だと,部分については,圧縮劣化は起こらず,また,作業時間も節約できます。

   


さて,肝心のReferencing Movie機能ですが,

これは,「QuickTimeコンポジット形式」よりも更に賢くて,

部分については,元のMovieファイルから「コピー」するのではなく,元Movieファイルの該当部分を「参照」します。

つまり,部分のデータ自体は,出来上がったMovieファイルに存在するのではなく,元のMovieファイル上にあります。

まあ,エイリアスのような概念ですね。

   

これだと,部分については,

圧縮劣化は起こらない

作業時間も更に短縮が可能
(データ自体をコピーする必要がないので...)

点が,きわめて優れています。

作業時間に関しては,実はもう少し巧妙で,

プレビューで確認した際,Temporary fileが作成されますが,これをレンダリング時にも利用することで,更に作業時間が短縮されます。

   

さらに,HDD容量に注目しますと,

QuickTimeMovie形式,QuickTimeコンポジット形式の場合にくらべ,Referencing Movieでは,の分だけ

HDD容量を節約できる

点も,良くできてますね。

QuickTimeMovie形式   

QuickTimeコンポジット形式

Referencing Movie    

大したことない,と思われるかも知れませんが,実際にDTV作業をしてゆくと,早晩,HDD容量との戦いに陥ります。そのこときに,ありがたみを痛感しますよ(笑)。

   

シームレス再生

もうひとつの視点として,Movieのシームレス再生があります。

QuickTimeの場合,単純なカット編集なら,コピー&ペーストでシームレス再生が可能です。

Premiereのコンストラクションウインドウにクリップを配置し,

もちろん,「ムービー作成」してもよいのですが,しなくても
「ビデオにプリント」を実行すると,シームレスに連続再生されます。

この機能は,QuickTimeが提供してくれるので,Premiereだけで利用可能という訳でなく,例えば,Movie playerでも利用できます。

コピー&ペーストを繰り返して,カットを並べた後,(もちろんMovie化してもいいですが,Movie化しなくとも,)再生することで,カットつなぎ目で気付くことなく,シームレス再生されます。

このように,QuickTimeを利用する限り,単純なカット編集なら,コピー&ペーストでシームレス再生が可能なのです。

これを,念頭に置いていただいた上で,Referencing Movieの優れた点を説明しますと...。

   

さて,「ムービー作成」する場合を考えましょう。

クリップとクリップがつながって,ひとつの最終Movieファイルが出来上がるわけです。この場合,最終movieが2GBを越える場合,それ以上の長いMovieは作成出来ません。

98年7月現在。MacOS8.1のHFS plus上でも,です。

詳しくは,Mac DTV実験室MacOS8.1Eの登場で「2GBの壁」は崩れたかを参照

   

そこで,Referencing Movieの出番です。先程,

元Movieファイルの該当部分を「参照」します。つまり,未処理部分のデータ自体は,出来上がったMovieファイルに存在するのではなく,元のMovieファイル上にあります。

と説明しました。つまり,これによって,2GBの壁を越えることが出来るのです。

例えば,2GBの元Movieファイルを3個並べて,Referencing Movieを作ると,

Referencing Movie自体のファイル容量は,2GBよりもはるかに小さいですので,
「2GBの壁」にひっかからず,(仮想容量)6GB分のMovieファイルが作成出来ることになるのです。

   

Movieのシームレス再生,という観点から,Referencing Movieを眺めると,
シームレス再生自体にアドバンテージがあるわけではありません。

QuickTime対応アプリなら,シームレス再生に対応しているわけですから。

複数のMovieを,あたかも一つのMovieであるかのようにまとめること,ここにアドバンテージがあるのです。

   

あとは,わたしの私見です...

ムービー作成という観点では,

リニア・ノンリニアハイブリッド編集をしている分には,ノンリニアで処理する部分は最小限にとどめ,もともとエフェクト部分しかMovieを作っていないので,

未処理部分だけHDD容量と作業時間の節約になるReferencing Movieの意義は,わたし自身は,あまり感じません。

それと,プレビューで作成したTemporary fileをレンダリング時にも利用することによる作業時間の更なる短縮についても,わたしは,あんまり好きではありません。
Temporary FileがHDDに貯まってくるのが好きでない

訳のわからん名前のファイルが,自分のHDDに出来るのは気に食わないのです。WINじゃあるまいし(笑)...。

ので,プレビュー実行後は,「Adobe Premiere TMプレビュー」フォルダをすぐに消すようにしているのです。

HDD容量が少なかった昔にDTVを始めたもので,哀しいくせですねえ(笑)。

   

シームレス再生という点では,

もともと,2GBの壁なんて実用上問題にならない,という立場に立ってますので,2GBを越えたシームレス再生という意義を,それほど認めていません。

わたしは,リニア・ノンリニアハイブリッド編集をしている分には,そんなに長いMovieを作る必要がないと考えています。細かいMovieをいくつも作っておけば,後はハイブリッド編集実行時につないでしまえばいいのですから。

   

ま,この考えは,客観的には,かなり偏ったものといえますから,あまり気になさらぬよう...(笑)。

ただ,複数のMovieファイルをひとつのMovieファイルにまとめる,このことは,非常に役立つと思っています。これは,便利ですねえ。これはいいです。

このプラグインを別売りししても売れるでしょうね。15800円くらいで...。

でも,まあ,これは,Premiere自体が持っていてもいい機能だと思いますけどね。

さてさて,Premiere5.0ではどうでしょうか...。(笑)。

   

あと,気になっている点ですが,音声です。Referencing Movieの音声がどうも挙動が妙だと思うのですが,FAQなのかしら。

   


なお,元ファイルを消去してしまった場合,

と,置き場所を尋ねてきます。どうしても,元Movieファイルが見つからない場合は,

というエラーダイアログが出て,もちろん,正常に再生できなくなります。そうなると,オリジナルを消した後のエイリアスのように,非常に不憫(笑)ですね。

くれぐれも,元Movieを捨ててしまわないよう(笑),注意しましょう。

でも,元Movieが,Temporary Fileだったりすると,ついついやってしまうんですよね(笑)。

   

今日のところは,通りいっぺんの説明で,すいません。

   
 

98.07.26初稿
98.07.27修正

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