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2007.07.19 Final Cut Pro 6のAVCHD対応(07.25追記あり)

Final Cut Pro iconApple Final Cut Studioサイトでも、未だに、表だって宣伝してない*)のが謎な、Final Cut Pro 6のAVCHD対応に関して、詳報をお送ります。

*) Final Cut Studioサイトをみると、本日現在、[ Final Cut Pro - 対応フォーマット ]でも[ Final Cut Pro - 仕様 ]でも、AVCHDという記載はないようです。
他方、Windows版編集ソフトにまつわる今第二四半期の話題のひとつは「いつAVCHD対応するか」。Appleも、もうちょっと宣伝したらいいのに、と思いますね。

AVCHDビデオカメラの基礎知識

AVCHDビデオカメラは、現在、ソニー社、Panasonic社から発売されています。キヤノン社も発売予告しています。

● データ形式:

ビデオ
Codecは、H.264(MPEG-4 Advanced Video)。ビデオカメラの設定で、いくつかの画質(転送レート)モードを選択可能。
フレームサイズは、1440×1080が主流ですが、このほか1920×1080を選択できる機種も登場しています。

オーディオ
Codecは、AC-3。フォーマットの規格上5.1 or 7.1サラウンドに対応してます。
AVCHDビデオカメラの中には、この規格を活かして、サラウンド録音ができることを宣伝している機種もありますが、実際のところ、民生用ビデオカメラの内蔵マイクでのサラウンド録音などたかが知れてますけど。

●収録メディア

現在のところ、8cmDVD、HDD、フラッシュメモリ等。各社・機種ごとに異なっていますので、消費者としては選ぶのが大変です。

8cmDVDや、フラッシュメモリ(現在は8GBタイプまで登場。HDV並みの画質で収録するとなると約1時間分)は、容量(=収録時間)の点で不満が残るのでHDDタイプがよさそうですが、一方で、HDDだとクラッシュが心配。クラッシュ耐性ではフラッシュメモリが最強ですが、現状では容量が少なすぎる。

現状、一長一短があって、選択に苦しみますが、将来は、16GBやそれ以上のフラッシュメモリか、
8cm 次世代DVD-Video(Blu-Ray Discタイプの機種を出すのは、ソニー社が先かPanasonic社が先か??)でしたら、前述の不満は解消します。

Final Cut Pro 6での取り込み・編集の実際

AVCHD機能は、Intel Mac上でのみ使用できます。残念ながら、PowerPC Macでは利用できません。
また、「DVDタイプのAVCHDビデオカメラは、Mac OS X 10.4以前のバージョンではサポートされていない」とのことですので、これらのAVCHDビデオカメラをお持ちの場合は、Mac OS X 10.5 Leopardのリリース待ち、です。

(1) MacとAVCHDビデオカメラとを接続する

FireWire接続するDV/HDカメラと異なり、AVCHDビデオカメラの場合、MacとはUSB2.0で接続します。

Finder上で一ボリュームとして見える場合もありますし、Finder上では見えない場合もあります。
例えば、フラッシュメモリをAVCHDビデオカメラから外して来てメモリーリーダーで読む場合等は、Finderで見えます。

(2) Final Cut Pro 6の[切り出しと転送]ウインドウを開く

Final Cut Pro 6の[切り出しと転送]ウインドウを開くと、[ブラウズ]フィールド(ウインドウ左下)に取り込み先ディスクが見えます。クリップを選択するとリストされます。

(3) 取り込むべきクリップや、必要シーンを設定する

[切り出しと転送]ウインドウで、取り込むべきクリップやその中のシーン(In/Outpoint)をいくつか選択したら、[キューに追加]を実行します。キューに従って、順次取り込みが行われてゆきます。

この際、メディア(DVD, HDD, フラッシュメモリ等)上に記録されているH.264ファイルが、そのままMacのHDDにコピーされる訳ではありません。H.264をnativeで編集するのは、処理負荷が重すぎるので、現時点では現実的ではないからです。そこで、転送の際に、負荷が比較的軽い別Codecに変換(Transcoding)してしまいます。

この際のTransCodecには、Apple ProRes 422 CodecやApple Intermediate Codecがあります。ProRes 422 Codecは、今度のFinal Cut Pro 6の目玉機能。一方のApple Intermediate Codecは、iMovieやFinal Cut Express HDでHDV編集の際に利用されているCodecです。
両者の切り替えは、[切り出しと転送]ウインドウ中央上にあるアクション・ポップアップ・メニューで[環境設定]を選択し、[読み込み環境設定]の[トランスコード後の形式]でおこなうことができます。

一般的なアマチュアDTVにとって、ProRes 422 Codecはマシン環境(特にHDD性能)を要求するので気軽に使用できるものではありませんから、Apple Intermediate Codecを使用する方が無難だと思います(これなら、非RAIDのHDD環境でOK)。また、現在のAVCHDビデオカメラでは1440×1080が主流なので、無理に1920×1080(かつ10bitカラーのProRes 422 Codec)で編集する必要もないように思います。

もちろん、業務ビデオ用途で「AVCHD素材を立ち上げる」場合等は、話しは別ですが。

取り込み速度に関しては、マシン環境に依存します。DV/HDVのようなテープですと、実時間比は1(60分テープの取り込みには、60分掛かる)と決まっているのですが、AVCHDのような非テープメディアの場合、マシンの性能が高ければ高いほど取り込み時間は短くなります。とはいえ現時点では、TransCodig(の際のH.264デコード)処理が重いので、相当時間を食いますが、これも、Macの性能が上がってくるにつれ、気にならなくなってくることでしょう。

なお、Win版編集ソフトでも、このようなTransCoding方式を採用するものもあります。例えばカノープスのEDIUSシリーズでは、Canopus AVCHD converterというソフトでAVCHDをCanopus HQ Codecで変換してから、EDIUSに持ち込み・編集します。

2007.07.25追記 関連情報 AV Watchの小寺信良の週刊Electric Zooma! の記事[ 第316回:AVCHDに対応したFinal Cut Pro 6.0.1 〜 プロユースでも見えてきたAVCHDワークフロー 〜 ]で、同様のことが紹介されました。

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