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DVD-Videoの複製に関する見解
2001.05.18初稿
2004.08.21改訂
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DVD-Videoの複製に関するMacDTV.comの見解

(以下の議論は、日本国内での著作権法に基づきます)

著作権法上、家庭内で楽しむことを目的とした複製は認められています。

第五款 著作権の制限

(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

一般に私的録音権、私的録画権と呼ばれていますが、この範疇であれば、たとえば、自分で購入した音楽CDをテープに(って今時そんなひとがいるのか(笑))ダビングしても違法ではないわけです。

一方で、私的な利用であれば、無制限に複製してよいわけではありません。
同第三十条では、私的録音・録画権が制限されるふたつのケースが例示しております。

一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

二 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

まあ、法律用語で難しい文体になっていますが、具体例でいうと、

一項は、民生用(公衆の使用..)の、音楽CD複製マシン(自動化...)の場合は、私的録音権には当てはまらない、といったようなこと。

逆に言うと、業務用音楽Dコピーマシンなら認められるのか、パソコン+外付けCD-Rドライブ(=自動ではない)ではどうなのか、という疑問が起きますね。これについては、別の機会に解説します。

二項は、複製防止措置(コピープロテクトなど)が執られている場合、コピープロテクトをはずして複製することは、私的録音権は該当しないから著作権侵害にあたる、といったようなこと

を言っています。

この二項目に関しては、平成11年6月23日の著作権法改正の際に新たに加えられたもので、プロテクトはずしのための機器や装置を販売・配布することも違法になりました。たとえば、以前はアナログでもマクロビジョンはずしのできる装置も販売されていましたが、今は違法(罰則規定あり)となっていることはご存じのとおりです。

第二項に注目してください。

市販のDVD-Videoの場合、普通はCSSというプロテクトがかけられていますので、つまり、これを複製することは明確に違法行為となります。たとえ家庭で楽しむ目的であったとしても、この場合は私的録画権には該当しないのですから。この点には、もはや議論の余地はないように思えます。

一方で、コピープロテクトがかかっていないDVD-Videoに関して、その複製についてはグレーです。こういったケースは、例えば、アマチュアなど非営利の作品など、あるいは、営利目的でも「著作権に対してなんらかの主張(笑)をお持ちの方」が制作した場合、などしか想定することができませんが。

なんにしても、大前提として、作品の複製権は著作権者にあります。したがって、作者の方ご自身がツールを使う場合違法性はありませんが、著作権者以外の方が複製する場合、著作権侵害に相当するおそれがあります(コピープロテクト破りのように明確な違法性はないにしても)。


なぜ、こんな解説をするに至ったかというと、ふたつ理由がありました。

第1点目としては、現実に、Mac用でもDVD-Video複製ソフトは存在しているからです。

第2点目として、折しも、MACLIFE誌2001年5月号(4月18日発売号)に(ソフトの名称自体は隠しているものの)その存在を誌面で紹介してしまったことです。この手のことを雑誌に掲載すること自体、常識を疑いますが。だって、インターネット時代です、調べる気になればこの手のソフトがおいてあるサイトはすぐに見つかるでしょう。
もちろん、さすがにやましさも感じていたのか、この記事中には、

MACLIFE編集部で悪用防止のため本ツールの名称や入手先に関する問い合わせには一切応じません。

と断り書きがありますが、その分、MacDTV.comに問い合わせが来るんです、トホホ(笑)。調べることすらしないで問い合わせする方々もトホホですし、そもそも記事を載せた方もトホホですが。

これまでMacDTV.comでは意図をもってこの手の記事は掲載しておりませんでした。それは、ソフトの存在を暗示しただけで(検索すれば見つかるのですから)やぶ蛇になる恐れが高かったからです。

でも、こうなった以上は(笑)、なにが違法行為なのか明示しないと、知らず知らずのうちに著作権侵害行為を犯してしまうことになりかねません。そういった意味で、今回、DVD-Videoの複製に関するMacDTV.comの見解を掲載することにしました。

今回、いちいち著作権法を引用して解説してきましたが、その直接的な意図は、

知らないからといって違法行為を行ってはいい訳ではない。なにが違法行為なのか知っておくべきだ。

という考えからです。
デジタル時代の著作権の考え方は、今後変わってゆくこともあるでしょう。現実に、実態にあっていない点もあるでしょう。でも、だからといって、現行法下で違法行為をしてもよい、ということにはならないのですから。

さらに、背景には、

プロでもアマチュアでも、作った作品を尊重し、その作者を尊重する精神

からきています。なにしろDTVではだれでも作者(=著作権者)になれます。他人を尊重しないと、自分の作品がないがしろにされたときにも文句をいえません。
たしかに現状では、これらのルールは、大企業(たとえば、映画といったソフト産業が「集金」するの)に都合がよくできており、必ずしも中小のプロに恩恵があるとは限らない、ましてや、アマチュア作者にとってはなんの恩恵もない、そんな「営利的な」ルールではあります。だからといって、違法性のあることは行うべきではありません。

MacDTV.comでは、著作権を尊重します。

(参考)MacDTV.comでリンクも貼らない理由、あるいは、この手のサイトに自分のホームページからリンクを貼ると...。

Webサイトでリンク付きでご紹介することは、若干、問題があるのかもしれません。というのも、

第八章 罰則
第百二十条の二 次の各号にいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

という罰則規定の中に、

一 技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化した者

という項目があります。つまり、プロテクト外しソフトを作っても流通させても違法、と明記されているのです。自分のサイトにその手のソフトをアップロードすることは「送信可能化」に該当するから明らかに著作権侵害行為です。

一方で、そういったサイトにリンクを貼るだけの行為は、問題があるかどうかはわかりません。でも、確かにグレーですよね。

ですから、MacDTV.comはこれまでご紹介しておりませんし、今後も紹介することはありません。

最後に繰り返します。

コピープロテクトの掛かっている市販DVD-Videoを複製することは、著作権法違反です。

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