Mac.una Matata !!
勝手な予想屋
2001.04.01
Appleの新製品戦略 - Digital Hub構想が明らかになる-
現地時間2001年4月1日(日本時間4月2日)、Apple Computer社は、Digital Hub構想の詳細を明らかにしました。
Digirtal Hub構想は、2001年1月のMacWorld Expo 2001/SFで同社CEOであるSteve Jobs氏による基調講演で明らかにされたものですが、今回始めてその具体像が明らかになったものです。
ここでは、昨日行われたSteve Jobs氏によるスピーチの妙録をお送りするものです。
冒頭、2001年第一四半期(1〜3月期)の報告、特にPowerBook G4 Tituniumの爆発的な人気、Mac OS Xリリースなどにふれたあと、
さて、Macの進歩はこれにとどまる訳じゃない。パソコンの成長に限りがみえる、とアナリストはいうけれど、我々が掲げた" rest of us "という言葉を、いまこそ関係者はもう一度かみしめる必要がある。
考えて欲しい。
ひとつには、結局「パソコンは今もって難しいもの」だからこそ、「インターネットだけだったらPDAやSetTop Box、携帯電話といったもので充分だ」、となるのは当然じゃないか。
もうひとつには、普通のヒトにとって(仕事をのぞいて)プライベートで「パソコン的なあそび」をする時間というのは、どれだけあるというのか。ヒトはそんなに暇じゃないのだ、
ここのところを、今やコンピュータ業界を挙げて考え直す必要がある。そんなことをふまえて、Digital Hub構想について話そうか。
Digital Hub構想を始めて発表したとき(筆者注:2001年1月のMacWorld
Expo 2001/SF)、
「VAIOの二番煎じ」といった非難も聞かれた。iTunesにしてもiMovieにしても、そんなことは他社でもすでにやっていることじゃないかってね。また、実際、Apple社自身は、AV機器を作っている訳ではないので、こういう方面で勝負しても結局はソニーやPanasonicに勝てるわけがないと。
会場に苦笑が起こる
ところが、実はそうではないんだ。Digital Hubというのは、そんなことばかりじゃないんだ。「Macが家電ネットワークのセンターの位置を目指す」といったって、なにもそれはAV機器だけじゃないんだ。
(スライド) と、「70 %」と書かれたスライドを示して、
これはなんだかわかるかい。これは、一日のうちある部屋に滞在している時間の割合だ。そこは、台所(Kitchen)。一日の大半を、家族のだれかしらが台所で過ごしているわけなんだ。これに引き替え、リビングに居る時間は極めて短いわけだから、AV機器にさわれる時間も当然これよりももっと短いと言うことになる。だから、AV機器とのネットワークを狙ったって仕方がないんだ。ヒトはみな忙しいんだからね。
だから、今日我々は、Digital Hub構想のほんとうを明かそう。それは、iKitchenと呼ばれる。我々は、すでに製品ラインアップを進めてきた。それをご覧に入れよう。
(スライド) 「PowerBook G4」のスライド。
発表とともに、爆発的人気を博したPowerBook G4。あまりの人気に品薄状態になってしまったことを、ここで改めてお詫びする。さて、どうして、我々がチタンを採用したかわかるかい。単なるデザインではないんだ。
チタンというのは、堅い。熱が伝わりにくい。金属アレルギーなどになりにくい。さびない。こんな特徴があるのはご承知の通りだ。これは、ノート型パソコンの意匠材としても最適な上に、さらに、iKitchenにも最適なんだ
(スライド) と、PowerBook G4の上にリンゴを載せた図。包丁が振り下ろされる。
どうだい。PowerBook G4は、まな板として使うのにも最適なんだ。熱いものをのせても熱が逃げず、傷つくことさびることもなく、しかも衛生的なんだ。これまでのノート型パソコンよりも横にワイドなことも、使いやすさ(ユーザエクスペリエンス)を向上させるためだったんだ。実際、われわれのテストでは、VIAO Note 505にくらべ、33%使いやすい、との結果を得ている。
大拍手。(筆者注:でも、なんにくらべて33%なんだろう?)
もっと軽い方がいい、という意見もあったが、まな板としての使い勝手を考えると、これくらいの重量が必要だったんだ。ただ、平べったくて薄いだけ、という意見もあるが、これは、まな板としてのすぐれた工業デザインといえる。
(筆者注:確かに、PowerBook G3ではまな板にはならないよなあ)
次にいこうか。
今年のキャッチフレーズは、"Power to Burn"(みんなで焼き焼き)だ。これは、CD-Rを焼くことだと思われているが、実はそれだけじゃない。「みんなで焼き焼き」。これも、iKitchen構想に基づいたものなんだ。
まず、お見せしたいのが、Cube。どうして、こんなデザインにしているか考えてみたことがあるかい。どうして、上から垂直方向にCD-ROMを挿入するだろうって。実は、ここのスロットローディングに食パンを入れると、トーストを作ることができる。
会場、おおウケ。大拍手。
しかも、8倍速で焼けるんだ(筆者注:なんの8倍速かは意味不明)。
焼き終わったら、チンとなって焼き上がったトーストが飛び上がる仕組みも、開発上苦労したところだ。まさに、スロットローディングでないとできないところだが、これは某家電メーカの(通常の場合はコンピュータ周辺機器事業部だが今回は)電熱器事業部との共同開発なんだ。Cubeのデザイン、これはデザインのためのデザインではなく、トースターとしての必然のデザインだったんだ。
筆者注:初期ロットでは火力が強すぎて煙が出た、とのうわさもあるしね。
じゃあ、トースト以外はどうすればいいって。そのときには、これだ。今日こそ、iBookの新製品を紹介しよう。
(スライド) 新型iBookの写真
これは、iKitchen構想の"Power to Burn"に基づいて、新たに設計されたものだ。このように、iBookの上(ふた(液晶部))と下(底(本体部))で挟み込んで焼くことによって、ホットサンドだって、ベルギーワッフルだって作ることができる。広げて使えば、ホットプレートになるから、でBBQ(バーベキュー)も楽しむことだってできる。まさに、家族みんなのiBookというわけだ。
大拍手。
今回は、各国のニーズに合わせ、タコスバージョン(メキシコ)、たこ焼きバージョン(日本)など、きめ細かいラインナップが用意した。各国語版も同時に発売する。
ここで大拍手。
ただ、ここで、ひとつだけ大きなお知らせをしなくてはならない。ヒトによっては衝撃かも知れないが、我々はiKitchenのために、iBookにおいて大きな決断をした。iBookで焼き焼きするためには火力を高める必要があるが、PowerPCでは発熱が少なすぎる。そこで、Macでは始めて、大発熱量を誇るPentiumプロセッサを搭載したのだ。
とまどいと拍手。
これは、Mac OS X for Intel版を短い期間で成し遂げた、ソフトウェア技術者のすばらしい仕事があったからだ。彼らに拍手を送ろう。
拍手
そして、今日は最後にもうひとつ、新製品を発表しよう。コンシューマ向けのMac OS Xはすでに発売開始ししており、大人気を博しているが、今日ここに、サーババージョン、Mac OS X Server 2.0の発売を発表する。
ここで大拍手。
Mac OS X Server 2.0は、Mac OS Xの使い勝手を備え、正真正銘UNIXの安定性と高信頼性を兼ね備えたまさに本格的なサーバ・ソリューションだが、それだけでは面白くない。これもiKitchen Readyなのだ。
と、ポリタンクが登場。
これが、今回発表するMac OS X ビアサーバだ。このように、リセットボタンの下にある蛇口(注ぎ口)から、適温に冷えたビールを注ぐことができる。
といって、一杯飲む。
ああ、うまい。ビアタンクへのアクセスも、側面を空ければ簡単だ。
と開ける。ポリタンクの中には、ビールを入れたポリタンクが入っている。
そもそも、ずっと冷やしておかないといけないもの、つまり常に通電している家電品こそ、ホームサーバに最適なのだ。いつでも、冷え冷えのビールを楽しめる。どうだい、いいだろう。今回、日本のユーザからの要望も強かったので、我々は、日本市場向けにMac OS X米びつサーバも用意した。白米を1合単位で計ることができる優れものだ。
(筆者注:そういえば、昔、レバーを押すと1合ずつ出てくる米びつがあったっけなあ)
どうだい、Digital hubといっても、AV機器だけじゃ商売にならないんだ。やっぱり、台所といった「白もの家電」(筆者注:洗濯機や冷蔵庫といった生活必需品的家電のこと)をこそターゲットにするべきだ。なにしろ、台所に立たない日はないんだし、なんたってあのソニーだって家電は作っていないんだから、勝負はこれからだ。
今日はありがとう。きっとiKitchenはうまくいくはずさ、そもそも我々はAppleという食べ物の名前なんだしね。
大拍手のなか、Jobsが壇上から去る。
(追記)
この発表の直後、Microsoft社のBill Gates最高技術責任者は、洗濯機専用OS Washows XPを発表した。業界筋では、iKitchen構想への対抗策との見方が多いが、スタートボタンですべての操作を行う操作性については、操作する際にマウスが必要とは煩雑ではないか、塗れた手で大丈夫か、といった疑問の声も挙がっている。
また、Intel社は、ホットプレート機能に対応した 3 GHz Pentium 4を30日以内に出荷することを発表した。この新プロセッサは、従来の 1.5 GHz Pentium 4にくらべ150%の発熱量向上を誇りながら、CPU性能は従来水準を維持している。これにより、PC陣営も含め、次世代パソコンの主戦場は台所となりそうだ。